好きな曲紹介③〜「ピンクカシミア」(J&B)

J&Bのアルバム『FAMILY TREE』は大好きなアルバムで、
ほんと何回聴いても聞き飽きない感じなんですけど、
その中でも、特に最近聴きながら惚れ直している曲が
このアルバムの中に収録されている「ピンクカシミア」です。

この曲は、プリンスのカバー曲なんですよね。

ギターマガジンの2004年8月号に、
J&Bのアルバム『FAMILY TREE』についての
梶原順さん＆浅野祥之さんのインタビューが載ってて、
そこでおふたりは「ピンクカシミア」についてこんな風に
語っています。

<浅野さん>プリンスの「ピンクカシミア」はタカが持ってきたんだよね。
これは順ちゃんがメロディを弾くんだって流れでそうなって（笑）。<梶原さん>オリジナルを聴いてみたらすごいストリングスのアレンジなんですよ。
削ぎ落とした感じでやってるJ&Bで、これができるかな？って。
まず難儀しながらコードをとって、何回も聴いたんですよ。
すると、徐々に曲の核が見えてきて、メロディもわかってきた。
ライブのリハでやってみたら、これはいけるなと。<浅野さん>あんなゴージャスなアレンジになってるけど、最終的にはひとつしかない。
タカにはそれがすぐにわかったんでしょうね。<梶原さん>そう、すごいよね。梶原がメロを弾いて、浅野さんがアコギで、
これはJ&Bでいけると見抜いた感性。一度原曲を聴いてもらいたいですね。

（「ギターマガジン」2004年8月号より）

私、プリンスの原曲の方は聴いた事がないんですよね。聴いてみたいなあ。

J&Bの「ピンクカシミア」は、
J&Bファン、梶原さんファンの間でとても人気の高い曲です。（よね？）

J&Bバージョンの「ピンクカシミア」は、
梶原さんがおっしゃっているようにいたってシンプル。
必要最低限なものしか、ここにはありません。

・・・なのに！
この「ピンクカシミア」の音世界はすごいですよね〜！
さまざまな音や色や感情が、とても綺麗に静かに
行き交っています。

私はこの曲を聴いていると・・・
絶えず表情を変えながら降り続く雨とか、
琥珀色の、お酒みたいなとろりとした液体とか、
透明なパープルとブルーの色合いが交錯する海の中とか、
そういうものを思い浮かべます。

全部「水」系ですね。
聴いていると、そういう水とか液体の空間の中を、
ゆらゆら漂っているような気持ちになります。

ライブでこの「ピンクカシミア」を聴いて
自分の中ですごく強く印象に残っているのは、
2004年7月7日の七夕J&B＠チキンの時の演奏。
（確かこの時にJ&Bは、初めてセンターステージ形式で
ライブをしたんだったと思います。
梶原さんの機材トラブルがあったのも、このライブでしたね。。）

この日のライブで「ピンクカシミア」のイントロで
梶原さんのギターの音色がチキンに響いた瞬間、
チキンはチキンじゃなくなって、
なんだか深い海の底にいるような不思議な空間に一瞬で変わって
びっくりしてしまいました。

パープルとブルーの光が差し込んで来る海の底で、
みんなでゆらゆら揺られているような、そんな気分になったんです。
上を見上げたら、本当に水面が見えそうな気がして、
思わずチキンの天井を見上げてしまいました。
梶原さんのギターは本当にすごいなぁと思って聴き惚れてしまいました。

ラストのブレイク後の梶原さんの熱く激しいソロは、
海の底から「ばんっ！」と突然広い大地に飛び出して行くような、
そんな力強さと激しさと熱い感情があって、本当に感動的でした。

私はライブやアルバムで梶原さんの演奏する曲を聴いた後に、
「いやー、あのソロはかっこ良かった！凄かった〜！」みたいな
感想を持つことが多いんですけど、
この「ピンクカシミア」に関しては
「ソロがかっこ良かった！」とかいう感想を持つ事は
あまりないんですよね。

それは決して「この曲のソロがかっこ良くない」とか
そういう意味ではなくて。。

この「ピンクカシミア」での梶原さんのギターは、
ソロの部分と同じぐらい、“メロディー部分が”聴いていて
本当にすごく心にくるんです。
本当にこの曲の梶原さんのギタープレイは、端から端まで全て印象に残って
楽曲の最初から最後までを、一滴も残さず味わい尽くすように聴きたくなる曲です。
何だか、そういう意味では大村憲司さんの楽曲を聴く時の気持ちと
似ているかもしれません。

私は、眠るときにもこの曲を
小さな音でかけながら眠る事が多いです。
すうっと、音もなく、静かに海の底に沈んで行くような感触で
眠りにつけるのが心地いいです。

疲れていたり、落ち込んでいる時にも
結構この曲を聴く事が多いかな。

この曲は押し付けがましくないところがいいなぁと思います。
その時の自分の気持ちに、そっと寄り添ってくれる。
大好きな曲です。

本当にこの「ピンクカシミア」の梶原さんのギターは絶品！だと思います。

この曲は、J&Bのアルバム『FAMILY TREE』の7曲目に収録されています。