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こまきのブログです。

ドラマ「空中ブランコ」

疲れていたからとっとと寝るつもりだったのに、
見始めたら「あー、堺雅人さんこの後どうなるんだあ!」という
ただそれだけが気になって最後まで見てしまいました…。


ドラマのストーリーは。。。
破天荒な精神科医阿部寛)のもとに、三人の患者がやって来る。
一人は、サーカスで空中ブランコを成功させる事ができなくなってしまい、
空中ブランコの相手役が俺をわざと失敗させて、
俺を陥れようとしているんだ!」と
強く思い込み、そこから不眠症になってしまった空中ブランコ乗り。
被害者意識の強い患者。(堺雅人


もう一人の患者は、無名で売れていないが
一応肩書きは「女優」の二十代後半女性。
彼女は「美しすぎる私を、多数のストーカーがつけ狙っている!」
という強迫観念にとらわれ、不眠症になってしまう。
実際には彼女をつけ狙うストーカーなんて一人もいないのに…
という自意識過剰な患者。


もう一人は、ほんとうは心が優しく、まったくその世界に向いてないのに
ヤクザの世界に入ってしまい、
そのヤクザの世界で求められる人間像と、
実際の自分の人間性のギャップの大きさに悩み苦しみ、
そのストレスから「先端恐怖症」になってしまった男性。


そういう、何らかの形で自分に対する意識が「過剰」な患者たちに対して、
破天荒なトンデモ精神科医が行なった治療とは…?というストーリー。


空中ブランコ乗りの男性は、精神科医が撮影したビデオで、
自分が空中ブランコを飛ぶ姿を初めて客観的に見て愕然とする。
空中ブランコを失敗し続けているのは相手のせいなんかじゃない。
俺がこんな縮こまった飛び方をしているせいじゃないか。
俺はいつから、こんな飛び方をするようになったんだ…。
俺は全てを人のせいにして、わめき散らしてただけじゃないか」と。
(このシーンで、サーカス団員である彼が
「これじゃまるでピエロじゃないか…」とつぶやくセリフはおしゃれでしたね。)


女優の女性は、精神科医のすすめで
ある映画のオーディションを受けるが落選する。
自分に絶対の自信があり、オーディション結果に納得のいかない彼女は、
審査員の控え室まで押し掛けて猛然と抗議する。
しかしそこには、なぜか同じ会場にオーディションを受けにきていて落選し、
彼女とまったく同じように審査員に抗議をする、例の精神科医の姿が。
誰が見ても風貌のぱっとしないその精神科医が、
自信満々に自分の素晴らしさを語り、
審査結果に抗議をするその滑稽な姿を見て、
女優は「あれは私自身の姿なんだ」と気付く。
私には、自分が思い込んでいるような輝きなどないのだ、と。


先端恐怖症のヤクザの患者は、
離婚の慰謝料問題で別のヤクザに呼び出された精神科医
ボディーガードの役目を頼まれ、ついていく。
精神科医を呼び出した側のヤクザもまた、
ヤクザの世界と実際の自分のギャップに苦しみ、
「ブランケット症候群」に陥っていた。
「俺は本当はこんな情けないやつなんだ」と自分の心の内を告白する
ブランケット症候群のヤクザに対して
先端恐怖症のヤクザも強く共感し、「俺も同じなんだよ」とわかり合い、
相手の姿を見つめながら、自分の姿を見つめる。



「自分」に対して、何らかの強い激しい思い込みをしていた人たちが、
ある事をきっかけに、自分の本当の姿を初めて客観的に見つめ
(このドラマの中では、そのきっかけを精神科医が与えていたわけですね)、
そこで今までの自分の考え方がぐるりと180度変わり、
そこから自分にぴったりした素直な気持ちで生きていけるようになる…という、
根底にはなかなか深いテーマが流れていたドラマだったと思うんですけど、
何だかドラマの描き方があまりにコメディタッチでどたばた劇要素が強すぎて、
もっとシリアスに人の心に届けるべき場面も、
どたばたと同じテンションで通り過ぎてしまった感があるかなあ、
と思いました。


まぁ全体的には喜劇なんだろうけど、
もっとその部分のメリハリがついてたら良かったのに、と思います。
そのせいでなんか最終的にチープな、
ただのコメディみたいな印象のドラマになっちゃってて
もったいないなー、と個人的には感じました。


それぞれの患者が
「本当の自分の姿って、こうだったのか!」と気付くシーン、
あそこがストーリーの要だと思うから、
そこをもっと深く丁寧に描いて欲しかったな。
精神科医も、要所要所で何かの暗示的なすごくいいセリフ言ってるのに、
結局ぜんぶギャグっぽく聞こえちゃってもったいなかったです。


精神科医は、
「いつも飄々としていて、一見あほそうに見えるけど、
実はキレ者なんだぜーい」という
ルパン的キャラ設定だと思うんだけど、
もっとその「キレ者」の部分がしっかり出せてたらよかったのになあ。
たぶんドラマより原作本の方がおもしろい気がします。
原作本、ちょっと読んでみたいかもしれません。



今回のドラマでは、私の今のイチオシ俳優堺雅人さんは、
ドラマ「エンジン」より三倍ぐらいかっこ良くて嬉しかったです。
(ドラマ「エンジン」で堺雅人さんを初めて知ったという方には、
「本当の堺さんの姿は、こんなんじゃないんですよぅー!」と
叫びたくなる私です。)


大河ドラマ新選組!」でもそうだったけど、やっぱり堺さんは
悶々とストイックに悩み込んだり、
そんな自分に対していら立つような役が似合うのかなあ(笑)
「飛べなくなった空中ブランコ乗り」っていう役は、
なんか哀愁ある感じでいいですよねえ。


最後に精神科医空中ブランコをやるシーンで、
堺さんが「今だ!!」と凛とした声と表情で叫ぶシーンが、
めーっちゃくちゃかっこ良かった〜!
あの凛とした、深く真っすぐな強い感じっていうのは、
きっと堺雅人さん自身の中にあるもので、
だからこそ演技でそういう感じが出せるんだろうなあ、と勝手に思いました。


今回のドラマの中で、
堺さんがキレて怒鳴り散らすシーンがたくさん見れたり、
煙草を吸うシーンが見れたりして、
そのシーンのどちらもかなり男前だったので、
ミーハー女子視線できゃーきゃー喜んでました(笑)


私は堺雅人さんの事は、去年の大河ドラマ新選組!」で初めて知って、
その中で彼が演じた山南敬介役に大感動したんです。
山南敬介が切腹する「友の死」の回は、何度見ても号泣します。
あれは本当にすごかったなあ…。
三谷幸喜さんの脚本も素晴らしかったですよね。
これから先、堺さんであれを超える役を見れるのかなあ、と
思っちゃうぐらいです。


その「新選組!」以来
ちょっと堺さんの事を気にして見ている、って程度で、
堺さんに関して詳しいとかいうわけじゃ全然ないんですけど、
自分にしては珍しく、比較的若めの、
しかもきれいな顔立ちの役者さんにはまったので、
もうしばらく自分の中で、
堺雅人さん熱をキープして行きたいと思いまーす。


あれ、ドラマレビューのつもりが、
最後は堺雅人さんレビューになってしまいました(笑)
頑張れ堺雅人さん!!