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こまきのブログです。

「Nowadays」コピー奮闘記

昨日の日記で書いた、「Nowadays」のコピーのお話のつづきです。


マリンバで「Nowadays」のコピーに取り組み始めたのが、
結局去年の9月ぐらいだったのかな?


演奏するには、とにかくまず、
曲を耳コピして譜面を作らなければなりません。
耳コピはほぼ初挑戦状態ですから、右も左もわかりません。
私、コードとかキーとかの音楽理論的な事ってさっぱりわかってません。
もうこの時点で何やらとってもたいへんです。


とにかくCDで「Nowadays」をかけて、
少し曲をかけては、マリンバをぽこぽこと叩いて
「この音かな?この音かな?」と探して行き、
「あっ、この音だ!!」と見つかると、それを譜面にがりがりと書いて行きました。
もうほんと何度CDデッキとマリンバの間を往復したでしょう、って感じです。
めちゃめちゃ時間かかりましたね。


でもそんなこんなで、不完全なりにも、だいたいの
梶原さんのギターメロと、秀樹さんのベースラインの音を取って
譜面におこしました。


本田雅人さんが、以前ネットファンクラブの会報で
「極端な話、CDデッキで一音一音止めて音を取っていけば、
絶対音は取れますよ。」
っておっしゃっていたんですけど、本当にそうなんですね。
時間さえたっぷりかければ、私みたいな耳コピ初心者でも、
音はなんとか取れます。
私の譜面には細かい間違いがいっぱいあると思いますが、
でも大体の雰囲気の音っていうのは、
時間さえかければ、なんとかかんとか取れるものなんですね。


私は「Nowadays」のコピーに挑戦する前は、
耳コピなんてできるのかな、音ちゃんと取れるのかな」って
そればっかりが不安でした。


でも、コピーにおいて大変なのは、耳コピ作業だけじゃないんですね。
もっと大変なのは、
耳コピして取ったそのメロディーを、どう表現するか」
という事でした。


特に今回は、エレクトリックギターの曲を、
違う楽器のマリンバでやろうとしているし、
おまけにマリンバでは普段あまり演奏される事のない、
ブルースやジャズのテイストのある曲をやろうとしているわけですから、
もう本当に大変でした。


具体的にどういうところが大変かというと。。。


まずエレクトリックギターは、音を伸ばして表現する事が可能ですよね。
でもマリンバは、音を伸ばして表現する事ができません。
文章に書くとたった二行で終わってしまいますけど、
この差はほんとうーーーに大きいです。


マリンバは、音を伸ばす事ができないので、
アクセントによる表現が非常に重要になってきます。
って事で、マリンバの先生に、
「『Nowadys』のギターメロのアクセントがどこについているのか、
全部把握しなさい!」
って言われました。


それ聞いたとき、ひえええぇ、って思いました。
「ぜんぶ?!ぜんぶ把握するんですか?!」って感じで。
でもこれ、やってみると結構面白かったです。


まず、自分が作った「Nowadays」の譜面を見ながら
CDでJ&Bの「Nowadays」を聴いて、
梶原さんがメロを弾くときにアクセントをつけている位置に、
自分の譜面にぜんぶマルをつけていく。


で、そうやってアクセントの位置がぜんぶわかった後、
そのアクセントのマルをつけた譜面を見ながら
ひたすら何回もCDを聴いたり、実際に同じアクセントをつけながら
マリンバを弾いてみる。
そうやって、梶原さんのアクセントのつけ方を、自分の体に入れる作業をする。
アクセントの位置をつかむ為に、本当に何度も何度もCDを聴いたので、
今では私、「Nowadays」においては、梶原さんのメロのアクセントの位置を、
ぜんぶ頭の中で歌いながら、鳴らす事ができます。


演奏を構成する要素はもちろんアクセントだけではありません。
梶原さんがメロディーを弾くときの
音のアタックの感じ、スピード感、
音の伸ばし方、音を伸ばしている間にその音がどんな表情に変わっていくか、
伸ばした音はどんな風に終わるのか、減衰されるのか、
音の切り方はどんな感じなのか・・・
そういう事を意識しながらCDを何度もしつこくしつこく聴きました。


そしたらもう、今まで全然気付かなかった発見が
いーっぱい、ありました!!
今までも自分なりにCDは細かく聴き込んでるつもりでしたが、
コピーの為に、意識して一音一音をさらに細かく聴き込む事で、
「私、今まで全然わかってなかったんだなぁ」っていうような発見が
本当にいっぱいあったんですね。


ギターのメロディーの一音一音に、こんなにも
細かいニュアンスづけがされてるんだって事がよくわかりました。
梶原さんって、本当にすごいなー!!って改めて思いました。



音色に関しても、クラシックで求められる音色と、
ブルースで求められる音色は全然違います。


マリンバでクラシックを演奏する場合は
基本的には、澄んだクリアな音色が求められます。
でも、「Nowadays」を演奏する際には、
マリンバの先生に「デッドな感じの、くぐもった濁った音を出しなさい」
って言われました。


そんな事言われたって、どうすりゃいいのかワケわかりません。
で、先生に教えてもらった奏法が、
なるべく鍵盤に近い、低い位置からマレット(←バチの事)を振り下ろして、
マレットをぎゅっと鍵盤に押し込むようにして弾く、という奏法。


で、実際にやってみると・・・おぉ、本当だ!くぐもった感じの音が出る!
クラシックの場合は、なるべくマレットが鍵盤に触れてる時間が
短い方が、クリアな音が出てそれが良いとされてましたから
(もちろん曲によっては違ってきますが)
もう、今までやって来た事とは全く逆の発想です。


あと、クラシックの曲を演奏する際には
基本的に小節の頭の拍・・・つまり前拍を強調して演奏する事が多いのですが、
「Nowadays」では、裏拍を強調しないといけないシーンも多く出てきます。
これもたいへんです。長い間、前拍強調の世界でやって来ましたから、
裏拍強調の感覚が、なっかなか身体に馴染まない。
ふと気付くと、裏拍を強調して弾くべき部分を、
つい前拍を強調して弾いちゃってたりするんですね。


そうやってアクセントやら、音色やら、拍の強調の位置やら、フレーズやら、
いろんな事を考えて、
クラシックを演奏する際には
「タチツテト」という感じだったクリアな話し方を、
「Nowadays」(ブルーステイストのある曲)を演奏する際には
「ダァディドゥデェドォ」という濁った粘っこい話し方に変えて演奏します。


全てにおいて、今までのクラシックの演奏とは
間逆の発想を求められるので、ほんっとうーーにワケわかんなくて大変でした。
「???(泣)」って感じ。
今までやって来て、良しとされて来たことが、
「Nowadays」を演奏する際には、それが全部だめ!って感じになるんですもん。


でも悪戦苦闘しながら少しずつやって来て、
ブルースを演奏する際のその「話し方」の感覚が、
最近ちょこっとだけ、ほんのちょこっとだけ身についてきました。


最終的に、このマリンバでの「Nowadays」が
形になるかっていうのは、正直よくわかりません。
ひょっとしたら最後には、「マリンバでブルースはやっぱり無理だね」
みたいなところに結論が行き着いちゃうのかもしれない。


でも、もしそうなったとしても、
この「Nowadays」のコピーをやって来た中で、
得たものがたっくさんあるから、全然無駄ではなかったと思います。


コピーの為に、あんなに細かく一音一音、
梶原さんのプレイを聴きこんで、いろいろ発見した事で、
これからの自分の音楽の聴き方って、絶対確実に変わりますしね。


だいたいエレキギターの曲を、
違う楽器・・・しかもアコースティック楽器であるマリンバ
やるという事自体が無謀じゃん、とも思ったのですが
でも、「違う楽器でやったからこそ」見えて来た点っていうのが
いっぱいあったんです。


エレクトリックとアコースティックの楽器の違いっていうのも
よくわかりましたしね。
ギターの曲をマリンバでやった事によって、
「ギターはこういう特徴のある楽器なんだな、
マリンバはこういう特徴のある楽器なんだな」って
気付いた点もいろいろあったし。
だから今では、マリンバでギターの曲のコピーにチャレンジして、
良かったなあって思います。


これらの事は、ぜんぶこれから
自分がたくさん音楽を楽しんで行く上での糧になると思います。
今までより、自分の音楽の楽しみ方が豊かになると思うんですよね。


何よりも、自分の好きなミュージシャンの曲のメロディーを、
自分で音を出せるって、それだけで
とってもうれしい、幸せな事じゃないですか。


マリンバのレッスンで「Nowadays」弾いてると、
「うわー、私マリンバのレッスンで梶原さんの曲弾いてるよ!
信じらんない!!」
ってよく思うんです。
そういうシンプルな「うれしい!幸せ!」っていう気持ちを大切にしたいな。



24日のマリンバのレッスンで「Nowadays」の後半部分やったんですけど、
レッスン後に先生に
「だいぶブルースの歌い方の雰囲気が出てきたね。よく研究してるね!」
って言ってもらえたんです。
確かにその時のレッスンで弾いた時は、
「あ、なんか曲の感じが、やっと体の中に入ってきたかな。
なんか弾いてて気持ちいいな」
って感触が初めてあったんです。


今までは弾いても弾いてもうまく身体に入らない、馴染まない感触があって
正直やっぱ無理かな、と思ったときもあったから、
先生にそんな風に言ってもらえたのはとーっても嬉しくて、
レッスン室を出た後に、
「うしっ!!」と、ひとりちいさくガッツポーズをしました(笑)


今は、やあっとブルースの単語の発音の仕方が
身について来たような段階なので、
これからは「その単語をつなげて、
楽器を通じて自分がどんなお話をして行くのか」
を考えて行きたいですね。



前にも書いたように、最終的には、
マリンバにはブルースは合わない」ってところに行き着くかもしれません。
でも、まだまだ諦めずに、頑張りますよー。
だってひょっとしたら、
「お!マリンバでブルースも悪くないじゃん!」
みたいなところに、行ける可能性だってあるわけでしょ。
もうちょっと粘ってみます。


「頑張るぞおお!」という変に肩に力が入った感じではなく、
楽しく、楽しく、を心がけて
大好きな梶原さんの曲「Nowadays」をプレイして行きたいですね。


私はこの曲が大好きなんだー!という気持ちを大切にしながら
音楽をやって行けたら、と思います。