It Will Be Fine!

こまきのブログです。

「梶原順ギター&音楽クリニック」レポ!

今回で三回目となる、梶原さんのギター&音楽クリニック@三島、です。
今回は「ギター&音楽クリニック」+「JK Trio Live」という内容です。


まずはクリニックからスタートです。


クリニックの最初にJK Trioのメンバーで「Work Song」が演奏され、
その後、梶原先生の講義が始まりました。


「過去の二回のクリニックは僕の中ではお試しのような感じで、
今回からが自分にとっては本格的な内容のクリニック、
という気持ちです。」
と梶原さん。


梶「今回のクリニックは最初の一時間は僕が講義のようなものをして、
後の一時間は皆さんからの質問を受け付けます。」


梶「僕がいつも大学の授業の一回目で話す内容をこれから話します。」


そして現われたミニ(笑)ホワイトボード。
わ〜、ほんとに大学の授業みたいでわくわくしますー。



梶原さんがホワイトボードに書いたのは、音楽の三大要素


「リズム」
「メロディー」
「ハーモニー」


という言葉。



その後、梶原さんは等分線(って言うんでしたっけ、懐かしい/笑)を書いて
「リズム」「メロディー」「ハーモニー」を
どれぐらいの比率でご自分の中で大切にされているかを
示してくださったのですが・・・。


梶原さんがホワイトボードに書かれていた等分線の比率からいくと、
「リズム:メロディー:ハーモニー」の比率は、


「7:2:1」というぐらいの感じだったでしょうか。


「それぐらい僕はリズムを大切に考えます。」と
梶原さんはおっしゃっていました。


で、ここからは音楽の三大要素のひとつひとつについて、
梶原さんが詳しく語られていました。


梶原さんのお話の内容を箇条書きでざっとあげますね。


                                                                                        • -

【リズムについて】
●音楽の三大要素のうち、「リズム」は、
一番言葉で、理屈で説明できないもの。そういうものが一番大事。
だけど音大では、ハーモニーについて多く説明されがち。
(その理由は、ハーモニーは理屈で説明できるものだから。)
僕は授業ではリズムについて一番多く説明する。
リズムを一番大切に考える。


●「正確なリズムで演奏すれば、いいグルーヴが生まれる」とは限らない。
もちろん正確でないリズムでいいグルーヴが生まれる・・という事もない。
ここが音楽の難しいところ。


●リズムは、反復する事によって「リズム」となる。
繰り返す事によってリズム&グルーヴに変化する。


●リズムの練習をする時は、「まずは機械的に、正確的に」
徹底的に練習する。
それからそこに、強弱と音符の長さのコントロールを加えていく。


●「音を切るタイミング」も非常に大切である。




【メロディーについて】
●メロディーも繰り返し(反復)の要素が大事。


●そこに強弱と、音符の長さのコントロールを加えていく事が大切である。




【ハーモニーについて】
●音楽の三大要素のうち、「リズム」と「メロディー」は
自然発生的に生まれたものだが、
「ハーモニー(コード)」は人工的につくられたものである。


●最初は批判を浴びたコードが、やがて認められる・・
そうやって音楽は進化してきた。
例)メジャーセブンスなどの濁った感じのするコードは
最初は人々に受け入れられなかったが、
やがて「刺激的でいいね」と受け入れられるようになった。


●コードを連携させると、メロディーが聴こえてくる。


●和音が連続して「コード進行」になると、
メロディーの要素が生まれてくる。


※音楽の三大要素は、それぞれが密接に関わっている。




【音楽について】
●「音楽の三大要素」に加えて、
「音色」、「気持ち」が大事。
特に「気持ち」は最も大事なもの。
気持ちがあるから全て意味が出てくるし、聴いている人にも伝わる。


●アマチュアとプロの違いは、
「音色」、「リズム」のいい悪い・・・といえる。


●「気持ち」がなければ音楽ではない。
「気持ち」さえあれば何かができる。
演奏する事に関しても、聴く事に関してもそう。


●「気持ち」があれば、音楽とは一生つき合っていける。


●音楽は、「連続した時間の流れ」と共に生まれる芸術。


●音楽において「リピートマーク」というものは本当はない。
実際には演奏が始まったら、ひたすらエンディングへ向かっていくだけ。
気持ちは「戻る」ことはできない。


●数秒前に起こった事があるから、今演奏している事に意味がある。


●ライブとは、「同時進行で共有する事の大切さ」である。
小さいライブハウスでは、「同時に共有できている」という点において
よりリアル感がある。


                                                                        • -

・・・梶原さんの一時間の講義の内容をざっとまとめると
上記のような感じになります。


実際にはギターで実演を交えながら
非常にわかりやすく説明してくださったので、
こうやって文章だけで箇条書きにすると
ちょっとイメージしにくい部分もあるかもしれませんね。
(すみません。)


皆さんは、梶原さんのどの言葉が心に残りましたか?


私は、
「『気持ち』があれば、音楽とは一生つき合っていける。」
という言葉にいちばん感動しました。
これは本っ当に、いい言葉だなー。。と思います。



さて、梶原さんの約一時間の講義が終わった後、
休憩をはさんで参加者の質問タイムとなりました。


(以下、参加者からの質問を【Q】、梶原さんからの回答を【A】と表記します。)


                                                                      • -

【Q】いいリズムを身につける練習法とは、どういったものですか?


【A】とにかく「いつもリズムの事を気にしている事」が大事。
例えば、歩いている時に自分の足のリズムを感じたり・・・。
「起きている間はリズムの事が頭から離れない」自分になる事。
CDもリズム中心に聴く事。
そして、1時間練習するなら、「20分練習して、録音したものを20分聴く」
方がよい。
その方が1時間ひたすら練習しっぱなしよりも成長する。
録音して聴いてチェックし、「耳を使う」事が大事。
「いいグルーヴの曲を聴く」など、とにかく「聴く」事が大切。
CDを聴きながら、一緒に演奏している気分で「なり切って」
一緒に弾くのもいい方法。
この「なり切った」気持ちが大事。
(上手く行っている状態を自分に体験させる事ができるから。)


                                                                            • -

【Q】演奏において「歌心」を深めるためには、
日々どういった事を心がけて演奏や練習をすればいいですか?


【A】歌心を深めるためには、「発信者」である前に、
まず「リスナーとして」歌心を感じ取れるかどうかが大事。
曲の演奏者がその曲にこめた気持ちを、
まずリスナーとしてどれだけ感じ取れるかが大事。
リスナーとしてCDを聴いて聴いて聴いて・・生まれた自然な気持ちを
演奏で表現すればよい。
そして自分の演奏したものを録音して聴く。
(ここで再びリスナーとなる。)
その録音したものから何かが感じ取れたら、
「歌心」が少し表現できてきた、という事。
何も感じ取れなかったら表現できていないという事だから、
どうすればいいかを考える。
とにかく「リスナーである」自分を大事にする。


                                                                                  • -

【Q】自分仕切りのセッションと、レコーディング現場、等においての
梶原さんのスタンスの違いは?


【A】レコーディング現場においては、「自分と合わない現場」というのも確かにある。
そういう時は、まず一度自分を捨てて、「この人が何を求めているか」を探る。
そしてそこにかけ引きしながら自分らしさを加えていく。
言いなりにはなりたくない。
スタジオワークには時間的リミットがあるので、
時間を見ながらこだわり度合いを調整していく。
そういう意味では「純粋に音楽をとことん追求する」・・というのとは
ちょっと違うかもしれない。


                                                                                    • -

【Q】ギターを選ぶ時のこだわりはありますか?


【A】相性かな。
まずは音色。(弾きにくくても音色がよければOK。)
いい音のするギターは弾きにくいものである場合が多い。
(「弾きやすさ」と「音の良さ」は両立しない事が多い。)
「楽器に負けないでねじ伏せた時の快感」というのもある。
なので弾きにくくても音色が良ければいい、と思う。


                                                                                      • -

【Q】「弾けば弾くほど楽器の鳴りが良くなる」という事はあるのですか?


【A】「楽器の鳴りが良くなる」・・というよりは、
弾けば弾くほど「楽器と自分との関係(関わり)が良くなる」という事だと思う。


                                                                                          • -

ざっとこんな感じでしょうか。。


後は梶原さんのローディーさんが、
コードの事とかを質問してらっしゃいましたが、
難しくて私には理解できない話だったので
文章には起こせません。すいません。


※クリニックのラストはJK Trioのメンバーによる
「Just For Fun」の演奏でしめくくられました。
(久しぶりに聴けて嬉しかったなあ!)



Q&Aコーナーの梶原さんの話の中では、
特に「聴く事の大切さ」の話が私的には心に残ったかな。
リズムを良くするためにも、歌心を深めるためにも、
まずは「聴く」事から・・・。


梶原さんのお話を聞いて、
「もっともっとリスナーとしての感性を研ぎ澄ましていきたい」
と思いました。



二時間の音楽クリニックはあっという間に終わりました。
前半一時間の梶原さんの講義も、
後半一時間のQ&Aコーナーも、
どちらもいっぱいいっぱい勉強になりました。


梶原さんのお話を聞いて、
音楽を「聴く」事においても、「演奏する」事においても、
また以前とはちょっと違った視点から、
あるいは新たに増えた視点から楽しめそうというか・・・。


「音楽って本当に面白い!大好き!」と思いましたね。
梶原さんのクリニックによって、
自分の音楽の楽しみ方が、より豊かになったような気がして
すごく嬉しいし、楽しいです。


うん、音楽は楽しい!ですね。


「音楽ファンのための」梶原さんのクリニック、
これからもずっと定期的に続けていただきたいです。


ぜひアフタービート以外の会場でも開催していただきたいなぁ。