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こまきのブログです。

「梶原順 ギター&音楽クリニック vol.2@三島」レポ!

komaki-13252008-09-21

●2008年9月21日(日)
梶原順 ギター&音楽クリニック vol.2」


【会場】
☆三島アフタービート





梶原さんのギター&音楽クリニック第二回目@三島、です。


私は今回本当に直前まで行けるかどうかわからなかったんですけど、
なんとか無事行けてよかったです。



今回は、前回の7月の時のようにJK Trioのミニライブはなく、
クリニックだけに絞った内容でした。
クリニック前には1人30分3000円で、
梶原さんの個人レッスンを受けられる機会もありました。(希望者のみ)



さて、クリニックレポいきますね。


まず最初は梶原さんのアコギソロ演奏からスタート。
曲は「Benjamin」です。


久しぶりに聴いた鉄弦のギターの音色、素敵でした。
何も不純物がない澄み切った空間の中に、
梶原さんの研ぎ澄まされたギターの音が響き渡る感じでした。
そして聴く人の心の中にも、響き渡る。。



演奏が終って、梶原さんのお話。


「今日のクリニックの内容は何にも決めてません。超適当です(笑)」
とたのしそうに話す梶原さん(笑)
さて、今回はどんな内容になるのやら〜。


まずは質問タイムからスタートです。
参加者と梶原さんのやり取りを、いくつか抜粋して書いてみますね。


(以下、参加者からの質問を【Q】、梶原さんからの回答を【A】と表記します。)



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【Q】合奏ではなく、ソロで独奏で演奏する時に、
グルーヴ感を出す為に、あるいは演奏が単調にならない為には
どういう工夫をすればいいですか?


【A】独奏で演奏する時には「歌心」「歌い込む」事が何より大切です。
僕は普段からリズムの大切さを話していますが、
独奏でリズムに頼りすぎるとかえって単調な演奏になります。
強弱、音符の長さ、音色など・・・つまり「歌心」を大切にして、
そのバックにリズムがついてくる、という意識の方がいいでしょう。
あまり分析しすぎずに、大まかにとらえる事も大事です。


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【Q】梶原さんは先日渡辺貞夫さんのアメリカツアーに参加されましたが、
アメリカと日本の聴衆の反応は、違ったりするところがあるのでしょうか?


【A】演奏する側の心構えは基本的には一緒です。
聴衆の盛り上がるポイントは、確かに日本とは微妙に違うところがあったかもしれない。
今回のツアーでいちばん「アメリカ」を感じたのはワシントンD.C.で、黒人率が高かった。
僕は今回ブルーノートNYで演奏する事に対して、
「世界最高峰のクラブで、日本最高峰のミュージシャンの貞夫さんと一緒に出演する」
という事で自分の中ですごく緊張していたんだけれど、
いざライブをしてみると、観客の日本人率がいちばん高かったのがブルーノートNYだった。
客席前方はほとんど日本人で埋まっていて、奥の方の席で外国人が盛り上がっている、という
不思議な状況だった。
いちばんやりにくかったのはボストン。
なぜならバークリー音楽院の生徒たちが見に来て、
「ライブを楽しもう」というよりは、
「何かを学び取ってやろう。むむむむ。」という意識でライブを見られるから。



(※ここから「海外で演奏した時の話」で話が発展。以下梶原さんのお話。)


僕がまだ20代の頃で、貞夫さんのバンドで初めてアフリカで演奏した時の話なんだけれど。
アフリカで初めて演奏した時、自分が「今かっこいいソロが演奏できた」と思ったときと、
聴衆が盛り上がるポイントがずれているので最初戸惑った。
自分が「今のソロはかっこよかった」と思ったときには聴衆が盛り上がらなかったり、
自分が「今のソロはいまいちだったな」と思ったときに聴衆が盛り上がったりする。
その理由がわからなかった。
自分がシンプルなフレーズを弾いている時に聴衆が盛り上がる事が多いので、
「シンプルなフレーズだと盛り上がるのか?」と思ったが、
貞夫さんのソロを聴いているときの聴衆の反応を見ていると、どうもそうでもない。
貞夫さんのソロの場合は、貞夫さんがチャーリー・パーカー風の
複雑なソロを吹いている時でも聴衆が盛り上がっている。
その理由がなかなかわからなかったのだが、途中からやっとわかった。
アフリカの聴衆は、奏者の「自分の言葉になっている」演奏に反応するのだと。
僕ががシンプルなフレーズを弾いた時に聴衆が盛り上がったのは、
そのシンプルなフレーズは自分が昔からよく弾いてきたもので、
「自分の言葉に」なっていたフレーズだったから。
借り物の演奏には聴衆は反応しない。
アフリカの聴衆の反応で、僕はいかに自分の演奏が借り物だらけだったかに気付いた。
貞夫さんがチャーリー・パーカー風のフレーズを吹いても聴衆が盛り上がっていたのは、
貞夫さんの吹くそのチャーリー・パーカー風のフレーズが
貞夫さんの「自分の言葉になっていたから」だ。
今でも、音楽で壁にぶつかったり悩んだりすると、
僕はそのアフリカでの経験を思い出すようにしている。



(この話は確か以前、「4CREATOR.COM」サイトで梶原さんがご自身のブログで
『弾かされる不思議』というタイトルで書いていたお話と同じ内容ですね。
今はサイトがリニューアルしているのでその時の梶原さんのブログの記事は消えているのですが。
ブログを読んだ時に私はとても感銘を受けた話だったので、
ご本人の口からこのお話を聞けてとても良かったです。)


(アフリカの人たちは貞夫さんの「音色に」やられるらしい、
という梶原さんのお話も興味深かったです。)


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【Q】小学生ぐらいの子どもたちの前で演奏する時には、
選曲や演奏面でどんな事に気をつけたら良いですか?


【A】基本的には大人の前で演奏する時と同じ気持ちで演奏した方が良いです。
以前JとBで小学校(3、4年生ぐらいが対象)で演奏した事があるが、
その時あらかじめ小学生用の曲を学校の先生にリサーチしてもらっておいて、
その曲も演奏したが、アンコールの時にもう一度そういう小学生用の曲を演奏しようかと言ったら、
子どもたちは「その曲はもういい」と言った。
子どもがもう一度聴きたい、とリクエストしたのは「Let It Be」だった。
子どもの反応は考えずに、自分の好きな曲を気持ちをこめて演奏するか、
子どもみんなを納得させるわかりやすい曲を選ぶか、どちらかを選んだ方が良い。
子どもみんなを納得させる事を選ぶのなら、繰り返しのある曲、
だんだんテンポが速くなる曲、リズムがある曲を選ぶと良い。
子どもたちの前で演奏する時には、
子どもたちに「音を通じた経験をしてもらう」と考えると良い。


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質問タイムがひとまず終わって、梶原さんのギター演奏コーナーになりました。
梶原さんが学生用に作ったオケを使って、
まずアコギで演奏をした後、次にエレキで演奏。
同じオケでもアコギとエレキではこんなに雰囲気が変わるんだよ、という事を
実演してくださいました。



で、ここでいったん休憩タイム。
役10分ぐらいの休憩をはさんでクリニック後半スタートです。



クリニック後半は、
「僕は普段からリズムの大切さを言っているけれど、
一度みんなでリズムトレーニングでもしてみますか?」
という梶原さんの発案で、梶原先生指導による(笑)リズムトレーニングスタート。


会場にクリック音が流れます。


梶原さん「このクリックの裏拍を手拍子で打ってみてください。」


参加者手拍子。


最初はゆっくりめのテンポからスタートしたので
みんなだいたい揃っていたのですが、
テンポが速くなるにつれて、だんだん手拍子がばらけてきました。


ここで梶原先生のアドバイス


「自分の音を中心に聞いて、
クリックを聞かないようになるからずれるんです。
そうじゃなくて、クリックを中心に聴いてください。」


なるほど!!
で、梶原さんのアドバイスを心がけながらみんなで再び手拍子。
自分の音中心ではなくクリックを聴く、クリックを聴く。。
おぉ!さっきよりみんなの手拍子が揃っています。


梶原先生からも、
「うん、さっきより揃うようになった。」
とお褒めの言葉。


なるほどなぁ〜〜。これは普段の練習でもかなり使えますね。
普段から心がけて練習しよっと。


それにしても短くわかりやすい的確な言葉で
ぴっとアドバイスをくださる梶原先生、スゴイです。。。


「手拍子じゃなくて、左右で膝を打つかたちで裏拍打ちをすると
これまたクリックに合いくくなる」
っていうのも面白かったですね。みんなでやってみると、確かにずれてました。
梶原さんによるとこの理由はやはり
「左右で交互に打つと、自分の音を中心に聴くようになって、
クリックを聴かないようになるから」
なんだそうです。なるほどなー。


この後手拍子リズムトレーニングはどんどん高度になり、
16分音符の裏打ちバージョンに突入したり、
それぞれグループ分けをして参加者みんなでリズム打ち合奏みたいな事をやったり、
その中で梶原先生がなんと32分音符(!)の裏拍打ちに挑戦したり(笑)
なんだか最後はよくわからなくなって梶原先生も
「自分が合ってるんだか何なんだかよくわからなくなった(^^;」と
おっしゃっていましたが、楽しかったです♪



そんなこんなでリズムトレーニングも終了。


梶原さん、客席前方に座っていたベースを持参の男性に目を留め、
「それ、ベースでしょ?せっかくだから何か一緒にやろうよ。」


・・・って事で、ギター梶原さんと、ベースは私の友人Hさん、
もうひとりのギターが梶原さんのローディー田辺さん(で字あってるかな)、
というメンバーで、三人でのセッションがスタートです!


梶原さんに「何やる?」と聞かれ、
Hさんが「Aのブルース」 と答えて演奏スタート。


Hさん、さすがに緊張されている様子でしたが、
でも梶原さんと同じステージに立ってセッションなんて羨ましいなー。
一生モノの記念になったでしょうね!


セッションが終わって、客席からはプレーヤー三人に拍手〜。
お疲れ様でした!



「あ、君はまだそこにいて。」の梶原さんの言葉で
ローディーの田辺さんはステージ上に残ります。


「田辺くんは僕のローディーになって二ヶ月(三ヶ月?)経つんだけど、
僕は何も教えていないんだよね(笑)自分の方から盗んでもらうって事で。
いい機会だから、田辺くんからの質問を受け付けてみましょう。」


って事で、急遽田辺さんの個人レッスンスタート(笑)
田辺さんは「音感をつけるにはどうしたらいいか」等、
いくつか梶原さんに質問をしてらっしゃいました。



クリニックのラストは、梶原さんのエレキギターの演奏でしめくくられました。
梶原さんが持ってこられたオケ音源に合わせて、梶原さんがエレキで
11月18日発売予定の2ndソロアルバム『You Make Me Smile』より
「Ain't none of your blues」(松本圭司さん作曲)を演奏。


もうねー、すっごいかっこよかったですよ〜〜!!
8月のJIVEでも一回聴いたこの曲ですが、
今回はオケに合わせての演奏だったけど、
梶原さんのエレキ自体は、個人的には今回の三島で聴いた時の方が
ガツンと心に響いたかなあ。
梶原さんの2ndソロアルバムの発売、本当に待ち遠しいです!
発売日まであと二ヶ月切りましたね♪



・・・という感じで、
第二回目の梶原さんのギター&音楽クリニックは終了しました。


こうやってレポで書きながら思い返してみると、
改めて「濃い内容だったなぁ」と思います。参加できて良かったです。
ギターを弾く人じゃなくても、他の楽器を演奏する人でも、
あるいは楽器を演奏する人じゃなくても、
じゅうぶん楽しめる、意味のある充実の内容だったんじゃないでしょうか。


今後も梶原さんのクリニック、定期的に開催されるといいですよね。


ご興味を持たれた方は、ぜひ参加してみてくださいね!



☆2008/7/6の日記〜「梶原順 ギター&音楽クリニック+梶原順Trioライブ@三島」レポ!


☆梶原順オフィシャル・ウェブサイト