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こまきのブログです。

「上原ひろみ タイム・コントロールツアー@Zepp Osaka」ライブレポ

komaki-13252007-11-25

●2007年11月25日(日)
上原ひろみ タイム・コントロール日本ツアー」


【会場】
Zepp Osaka


【出演メンバー】
上原ひろみ(piano,keyboards)
トニー・グレイ(bass)
マーティン・ヴァリホラ(drums)
デヴィッド・フュージョンスキー(fretted and fretless guitar)




【※注!ネタばれあり!!】




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【SET LIST】
TIME DIFFERENCE
DEEP INTO THE NIGHT
TIME&SPACE
TIME FLIES
TIME CONTROL OR CONTROLLED BY TIME


〜休憩〜


TIME TRAVEL
NOTE FROM THE PAST
DOUBLE PERSONALITY
TIME OUT


<Enc.>
PLACE TO BE(SOLO)
RETURN OF KUNG-FU WORLD CHAMPION


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遂に、待ちに待った上原ひろみさんのライブの日がやってきました!
「初めて生で聴くひろみさんのピアノはどんな感じなんだろう〜」と
わくわくしながら会場へ向かいました。


今日のライブ会場はZepp Osakaです。
「観客層はどんな感じなのかな?」と興味を持って観察してみる私。


老若男女、いろんな年齢層の方がいましたね〜。
大学生ぐらいの男の子、女の子、
私ぐらいの中間(?)層、
「ジャズにはちょっとうるさいですよ」的な表情を浮かべた年配の方々、などなど・・・。
男女の比率もちょうど半々ぐらいだったでしょうか。


でも、いつも私が行っているインスト系のライブからすると
客層は「若い」感じがしましたね。
「普段インストは聴かないけど、上原ひろみさんのライブには来る」的な
雰囲気の人も多いように感じられました。
普段インストを聴く習慣のない人にも受け入れられている感じ。



今日は指定席制のライブです。
私は二階席の・・・ほとんど最後尾でした(涙)
「でもチャゲアスのライブ見るときよりは近いさー」
と自分を励ましつつ(^^;開演を待ちました。
本当に感動するときは、いちばん後ろの席でも感動しますもんね。



開演の時間になりました。
会場内に響くアナウンスの声。
「Hiromi's Sonicbloom TIME CONTROL JAPAN TOUR〜!!」


ライトに照らされて、ステージにメンバー登場。
会場からは大きな割れんばかりの拍手。
本当に今日のライブを心から待っていた、という感じの
心のこもった熱い大きな拍手です。
もう既にこの時点で感動の私。


ステージ上でにっこり微笑むひろみさん。
私は二階席だから肉眼で彼女の表情が見えるわけではないけど、
でも彼女が本当に「にっこりと」微笑んでいる雰囲気が伝わってきます。
あー、かわいい〜〜。素敵ーー。



ライブは最新アルバム『TIME CONTROL』の一曲目でもある
「TIME DIFFERENCE」からスタート。
最初、ホール的な大きな会場の音響に戸惑いを覚えましたが
(普段小さなライブハウスでライブを見る事が多いので)、
時間が進むにつれてだんだん慣れていきました。


彼女の音楽のジャンルって、どういう風に説明したらいいのかなぁ・・・。
いちおう「ジャズピアニスト」と言われている彼女だけれど、
あんまり「ジャズ」って感じじゃないですよね。
ジャズに、ロックや他のいろんな音楽の要素を融合させた、
本当に斬新なスタイルの音楽だと思います。
(ま、ジャンル分けなんて意味ないですよね。)


ひろみさん、一曲目から迫真の演奏!
「一曲目からこんなに飛ばしちゃって大丈夫なの?!」って心配になっちゃうぐらい。
ひろみさんの、自分自身のすべてを鍵盤に叩きつけるような熱い演奏に感動して
涙目になってしまった私でした。


一曲目の演奏が終わったところでMC。
照れながら、はにかみながら、
「話すのは本当に苦手で・・・」と恥ずかしそうに話すひろみさん。
さっきまであんなに激しいピアノを弾いていた彼女とはまるで別人のようです。


「毎回、最初で最後だと思って演奏しています。」
「このメンバーと、この会場のお客さんと今この時間を過ごせるのは
本当に一生に一度のこと。」
のひろみさんの言葉には、本当にそうだなぁって思いました。



二曲目に演奏されたのは「DEEP INTO THE NIGHT」。
アルバム『TIME CONTROL』の中で、私の大好きな曲です。嬉しい〜!!
「夜」のいろんな感情を表現しているこの曲。
深い深い夜が、夜の深い時間に訪れる激情が、
会場全体に広がり、大きく会場を包み込んでゆきました。


「TIME FLIES」では、冒頭にひろみさんのキーボードによって奏でられる
憂いのあるメロディーが印象的でした。



ベースのトニー・グレイは、ふわふわと浮遊感のある音色が印象的でした。
音の輪郭のまぁるいベースです。
中に空気をたっぷり含んだゴムまりのような音のベース。
なんとなく「この人は優しい、周りに心遣いをする人なんだろうな」と
そういう事を感じさせる演奏。


ドラムスのマーティン・ヴァリホラは、なんというか、いろんな意味でとがってる!
若さあふれる熱いプレイ、という感じ。


ギターのデヴィッド・フュージョンスキーは、とっても個性的〜〜。
ほんと個性的なギターだなぁと思いました。
乾いた感触で肌をじりじりと引き裂いていくような音色のギターです。
「もしも梶原さんがこのステージ上でのギタリストだったとしたら、
どんなプレイするのかなぁ。。」とか思いながらこの人のギターを聴いてました。



ライブが進んでいくにつれて・・・
最初上原ひろみさんの演奏を聴いて
「自分自身のすべてを鍵盤に叩きつけるような演奏だ」と感じたけれど、
その感想が自分の中で変わってきました。


「自分自身をピアノに叩きつける」というよりは・・・
「ピアノは彼女そのものであり、彼女はピアノそのものなんだな」と。
そんな風に感じるようになりました。
「楽器」と、プレイヤーである「上原ひろみ」の間に境界線みたいなものがないです。
どこまでがピアノで、どこからが上原ひろみなのかがわからない感じ。
ピアノとひろみさんが一体化して、一緒に音楽を創り出しているような印象を受けました。
(ライブ後にツアーパンフを読んだら、ひろみさん自身これと全く同じ事を言っていて、
ひろみさん本人もそう思ってるんだ〜!と思って嬉しかったです。)


見ていて聴いていて、
「ピアノと一体化して奏でられる」彼女の音楽に、
心が吸い込まれていくような感覚を覚えました。
彼女の音楽に、彼女の存在自体に、心が吸い込まれるような感じでした。



ライブは熱い状態をずっとキープしたまま続いていきました。
ひろみさんはエキサイトすると立ち上がってピアノを弾いたり、
ぴょんぴょん跳ねながら弾いたり・・・
そしてそんなひろみさんの様子を見て、また観客も盛り上がる!って感じでした。


叩きつけるような熱い激しいタッチも彼女の魅力ですが、
それと同時に絹のような、
これ以上はないというぐらいのしなやかな繊細なタッチも彼女は併せ持っていて、
そこもすごく素敵だなー、と思いました。




「TIME CONTROL OR CONTROLLED BY TIME」の演奏が終わった後、
約十分間の休憩をはさんで後半スタートです。


「TIME TRAVEL」か「NOTE FROM THE PAST」のどっちだったか忘れたけど、
曲冒頭でひろみさんがピアノの弦を手で直接グリッサンドして、
「シャランッ」と金属音のハープのような音色を出したり、
ピアノのボディを手で叩いたりして音を出しているプレイが印象的でした。
そこにドラムも絡んでいって・・・まさに音と音の「会話」でしたね。


「DOUBLE PERSONALITY」のイントロが流れてきた時は嬉しかった〜!
ファーストアルバムに収録されている曲なので、
今回のツアーで聴けるとは思っていなかったので。


この曲の途中からひろみさんがソロで
すっごくおどけた雰囲気のフレーズを弾き出して、客席からは笑いが(笑)
だって、「この場面でそういう雰囲気のものを弾きますか?」って感じだったんですもん。
音楽で表現されるユーモアだなぁ〜。
ギターのフュージョンスキーが「まったくもう(笑)」みたいな愛嬌のある仕草をして、
それにも客席からは笑いが。


・・・が、このひろみさんのソロ、どんどん展開していって、
何やら聞き覚えのあるメロディーに・・・。


これは・・・!
わー、ファーストアルバムに収録されている
「TOM AND JERRY SHOW」のメロディーだー!!


まさかここに結びつくとは思ってなかったのでびっくり!
ひろみさんすごーい!!
客席も熱くなってました!



本編ラストは「TIME OUT」!
わーい、聴けて嬉しい!
この曲のときに一階席はオールスタンディングになりました!
・・・が、二階席は座ってる(涙)


二階席で立ってる人ほとんどいなかったんですけど、私、立っちゃいました。
だって以前「情熱大陸」ライブでのひろみさんのこの曲の演奏が
テレビで放送されて、私それを何回も繰り返して見たんですけど、
その放送で観客の人たちがひろみさんの演奏を
立って踊りながら聴いているのを見て
「いいなぁ、私もあんな風にひろみさんの演奏聴きたい!」ってずっと思っていたし、
それに何よりも、今日のライブでひろみさんの音楽に本当に感動していたから、
座って聴いているなんてできなかったんですもん。


二階席から見下ろす、一階席総立ちの状態っていうのもすごかったですねー。
まるでロックコンサートのようなノリになってました(笑)
ひろみさんが「エイ!」と叫ぶと観客は「オウ!」と返す
コール&レスポンスもあったりして、熱く熱く盛り上がってました。



盛り上がりまくって本編終了。
客席からはアンコール催促の熱い大きな拍手が鳴り止みません。


しばらくして・・・ひろみさん、再びステージに登場!
わああっ、と歓声の客席。


ひろみさんのMC。
やっぱり照れながら、はにかみながら話す彼女。
「生きていてよかった、日本に生まれてよかったと思える時間を本当にありがとう。
皆さんがいなかったら私の音楽は成り立ちません。。」
と謙虚に誠実に、そして心から話す彼女に、客席からは大きな拍手が起こりました。



アンコール一曲目はピアノソロで「PLACE TO BE」。
ぽつぽつと大切に語るような、シンプルな優しい演奏です。
弾きながらメロディーを歌うひろみさんの声も聞こえてきました。
これもライブならでは、って感じですね〜。


そして、再びバンドメンバー登場で、この日のライブのラスト曲は
「RETURN OF KUNG-FU WORLD CHAMPION」!!いえーい!
再び一階席総立ちになりました!


なんとなくこの曲のイメージは私の中では「赤」なんですが、
そのイメージどおり、真っ赤な炎が一気に駆け抜けて行くような演奏でした。
客席大盛り上がりでした〜!



白熱の演奏で、この日のライブは幕を閉じました。
いや〜、ほんと熱かった!!


鳴り止まない拍手の中、メンバーはステージ上から去っていきました。




素晴らしいライブでした。
ピュアさ、グロテスクさ、優しさ、激情、絶望、愛、希望・・・
そういうものがいっしょくたに混在している音楽でした。
それらのさまざまな感情の、いちばん「濃い」ところがぎゅっと凝縮されて
集められている、という感じでした。
彼女がピアノで表現しているのは「生きる」という事そのものなんだな、と思いました。


彼女の音楽の中には本当にいろんな表情があるんだけれど、
くるくると入れ替わる、そのどの表情にも心を打たれたし、心が熱くなりました。
彼女の中からあふれ出てくる思いっていうのは、本当にすごいなーと思いました。


技術的にも本当に本当にすごくって「超」超絶技巧のオンパレードでしたが、
テクニックはもちろんの事、やっぱりその向こうに見える彼女の果てしない情熱に、
いちばん心を打たれます。


もう本当にどんなジャンルの音楽も、何でも弾けちゃうんですよね。
「すごいなあぁ」って思いました。
彼女が天才肌のアーティストである事は間違いないと思うけれど、
でもそれと同時に、「勉強し尽くしている」「練習し尽くしている」
彼女の努力の道のりみたいなものも感じます。



彼女の音楽はある意味ものすごく個性的で、難解なところもあると思うんだけれど、
聴衆にはとても熱く受け入れられているのが、
ライブを見ていて「なんだか不思議だなあ」と思いました。


彼女の音楽は、小難しい事を考えながら「アタマで聴く音楽」ではないんですね。
ライブの聴衆は、みんな「身体で」「心で」彼女の音楽を感じ取っているように見えました。
私もそうでした。


そして、ライブの空間でのひろみさんと聴衆の「信頼関係」みたいなものが
すごくいいなぁと思いました。


ひろみさんは、今この場で自分が生きていて、音楽が演奏できて、
この会場でお客さんに聴いてもらえる・・・という事に
心から感謝しながら演奏しているんですよね。
そういうひろみさんの気持ちが、彼女のピアノからしっかりと伝わってきました。


そういうひろみさんの気持ちを、聴衆も「音楽を通じて」無意識のうちに受け取るから、
だから聴衆はみんな彼女の事を愛し、信頼する・・・
なんだかそういう感じがしましたね。
音楽を通じて築かれる信頼関係、とっても素敵だなと思いました。



ずっと会いたかったひろみさんに、今回初めて会えて本当に嬉しかったです。
彼女の事が大好きになってしまいました。


彼女の、「情熱の中に見える純粋さ」が大好きです。


またいつか、ひろみさんのライブに行きたいと思います!
ひろみさん、素晴らしい時間を本当にありがとうございました!!



☆上原ひろみブログ〜旅の思ひ出〜
(食べ物の写真がいっぱいです/笑)


☆上原ひろみオフィシャルサイト