It Will Be Fine!

こまきのブログです。

「村上朝日堂」更新終了!

3月から期間限定で復活した、
作家村上春樹さんのホームページ「村上朝日堂」。
ちょくちょくこのブログでも、紹介してきましたね。


この村上朝日堂ホームページの「フォーラム」では、
読者からのメールとそれに対する春樹さんの返信が掲載されていますが、
この「フォーラム」の更新が6月8日で終了しました。


「フォーラム」での最後の春樹さんのメールの返信はこんな内容です。



 いったいどれくらいの数の返事を書いたのかな? 900通はいってないけど、800は越えているのではないでしょうか。いや、けっこう大変でした。でも楽しかったです。なんかお祭りみたいで。これでとりあえずみなさんとの正式なやりとりは終了しますが、そのうちにまたいつかこのようなかたちで(あるいは少し別のかたちで)お目にかかれるのではないかと思います。

 
 何度も繰り返して言っているような気がしますが、僕自身はなんということのない普通の人間です。とくに秀でたところがあるわけでもないし、日常的に何かとくべつなことができるわけでもありません。実際に会われるとたぶんがっかりなさると思います。そのへんのただのおっさんですから。でも、たまたま何かの加減で小説を書くことができて、それから(きっとおわかりいただけると思うのですが)何ごとによらず、いっしょうけんめい全力を尽くしてやっております。こういう膨大な量のやりとりをとおして、そのへんのあり方みたいなものを、なんとなく空気として感じ取っていただけたとしたら、僕としてはとてもうれしいです。

 
 僕は思うんだけど、作家と読者との関係は、基本的には信頼関係です。読者が作家を信頼し(この人は私に対してそれほど悪いことはしないだろう)、作家が読者を信頼する(自分が書こうとしている何かを、読者はきっと多かれ少なかれ掴んでくれるだろう)、それに尽きると思うのです。もしこのようなささやかなメールのやりとりが、そのような信頼関係を確立し、あるいは強めるのに少しでも役立てばいいのだがと、僕は願っています。

 
 そのうちに長編小説を書く時期に入ることになると思います。しばらく沈黙の期間に入ります。そのあいだお元気でお過ごし下さい。



村上春樹



(「村上朝日堂」フォーラム83の832より)

読んですごくじぃんとしました。
フォーラム画面のラストに、打ち上げ花火の画像があるのにも、
春樹さんの「でも楽しかったです。なんかお祭りみたいで。」
という言葉と重なって、じーんとしました。



私は、今回の村上朝日堂の復活で、
読者と春樹さんのメールのやり取りを読む事を通して、
春樹さんの事を以前の10倍ぐらい好きになったような気がします。
まさしく「信頼関係が以前より強まった」という表現がぴったりです。


私は春樹さんの文章を読んでいると、
春樹さんと自分が何かとても大切な話をしているような気持ちになります。
私は春樹さんの大切な話を「うん、うん」と頷きながら聞いている気持ちになるし、
それと同時に・・・自分の大切な話もまた、
春樹さんに聞いてもらっているような気持ちになるのです。不思議ですね。



春樹さんの返信の内容だけでなく、読者の方々のメールの内容からも
深く感じるところがいろいろありました。
本当に、世の中には様々な種類の悩みや苦しみがあるんだなあ、
そんな中でみんな懸命に生きてるんだなあ、と思います。
読んでいて、静かに熱く心打たれるものがありました。
「自分だけがつらい」という考え方が
いかに思い上がったものであるかという事を思い知らされます。
みんな大変だけど、頑張って生きてるんですよね。
それぞれのかけがえのない日常を、人生を。


今回の村上朝日堂で、
読者と春樹さんの膨大な量のメールのやり取りを読んでいて、
私は、人や世界が抱えている深さや複雑さみたいなものを垣間見、
少なからずそれを実感できたような気がします。



今回の村上朝日堂の中で
「春樹さんと自分は本当に同じ時代を生きて、繋がっているんだ」と
実感できる出来事があったのも本当に嬉しかったです。
「繋がっている感覚」・・・それはかけがえのない感覚です。
本当にありがとう。感謝しています。



膨大な量のメールを読むこと、返信すること、
春樹さんは本当に大変だったと思います。お疲れさまでした。


これからも私は春樹さんの文章をずっと大切に読み続けて行くし、
春樹さんの文章を読みながら自分の心の大切な部分を
静かに丁寧にじっくりと深めて行けたらいいな、と思います。



尚、村上朝日堂ホームページの更新は6月8日で終了しましたが、
ホームページの公開は8月下旬まで続けられるそうです。


興味を持たれた方は、
「村上朝日堂」ホームページを一度のぞいてみて下さい。


そして「フォーラム」での春樹さんの文章を読んで、
「なんかこの人、いいな」と思ったら・・・
ぜひ一度、春樹さんの小説を手にとってみて下さいね。



☆村上朝日堂ホームページ
http://opendoors.asahi.com/asahido/
(猫マーロウさん、愛してます!/笑)