「痛みはやがて通り過ぎていく。学んだことだけが残る。」
（By 村上春樹）
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先日更新された「村上朝日堂」フォーラムの中に、
（http://opendoors.asahi.com/asahido/）
読者と村上春樹さんの、こんなメールのやり取りが掲載されていました。
【読者からのメール】
蜂蜜パイが大好きな34才、求職中の女性です。
わたしは聴覚障害者です。でも、実はたまに聴こえます。
医者からは奇跡だと言われていて、その奇跡を大切にして過ごしています。
聴こえないときの音や自分の声を聴きたくて、周りの人に黙って、
いろいろな音や声をテープに録っていました。
その中に、恋人の声も入っていたのですが、
想像を超えたひどい侮蔑の言葉ばかりでした。
その人曰く、本音が全て聴こえたら世の中おかしくなる、とのこと。
もちろんその意見には賛成です。
でも、信頼していた彼だけに、ショックだったことは抑え切れません。
抑え切れないからどうするってこともありませんが、
人ってそんなものなんでしょうか。
聴こえるときが、喜びではなくなってしまいそうです。
村上さんなら、抑え切れないとき、どうしますか。
村上さんの心とお知恵を少し拝借したくて、勇気をだしてメールしました。
美味しいドーナツ食べながら がんばってください。
【春樹さんからの返信】
僕はこれまでに半世紀以上生きて、いろんな目にあってきましたが、
ひとつだけしっかり学んだことがあります。
それは「自分のいないところで話される、自分についての話は聞くな。
そういう機会があったらめいっぱい避けて通れ」ということです。
あなたもたぶんそれを学ばれたことと思います。
これからはちゃんと避けて通って下さいね。
つらいかもしれませんが、何も学ばないよりは、何かを学んだ方が幸福なのです。
痛みはやがて通り過ぎていきます。学んだことだけが残ります。
がんばってください。
（「村上朝日堂」フォーラム41の408より）
今日私、通勤途中に駅のホームで携帯からこの「村上朝日堂」の
フォーラムの文章を読んでて。
「痛みはやがて通り過ぎていきます。学んだことだけが残ります。」
の春樹さんの言葉を読んだとき、涙があふれそうになってしまいました。
あまりに自分の気持ちに、ぴったり来たから。
このメールを送った女性の「人ってそんなものなんでしょうか。」
という気持ち、すごくよくわかるな。
私はもうその地点は、抜けたけど。。
春樹さんの返信の文章の意味も、すごくよくわかる。
今日この「フォーラム」の文章を読んだ後に
職場で、ある知らせを受けました。
今日あのタイミングで、あの春樹さんの言葉を読んだのは、
何かの運命だなと思いました。
繋がってる。。
たいへんな事、ひどい事の渦中にいる時は、
「こんな事、経験したくなかった」と思うものです。
だけど、一番きつい地点を過ぎると、
「きつかったけど、経験してよかったな。」と思えるようになる。
ものすごくきつかったけど・・・
でも、その物事に傷つく以前の自分よりも、
その物事に傷ついた後の、今の自分の方が好きです。
そこからとても大切なものを、学ぶ事ができたと思うから。
だから春樹さんの
「つらいかもしれませんが、何も学ばないよりは、
何かを学んだ方が幸福なのです。」
という言葉には、深く頷いてしまいます。
うん、本当に、そうだと思う。
「人はどんな物事からも学ぶ事ができる」
・・・これも春樹さんの言葉です。
今は、その人やその物事に対して、怒りも悲しみも憎しみも、何もありません。
今自分の中にあるのは、「その経験を通して学んだ物事」だけです。
経験してよかったと思う。
そう思う事ができる事が、うれしい。
「あの人をどんなふうに送り出すのか」そこにきっと自分の人間性が出る。
心をこめて、しっかりとした仕事をしなければ。
自分のやるべき事を、しっかりとやらなければ。
あと、約三週間。
この三年半の自分の総決算です。
頑張ろう。
「力まず、リラックス」も常に心に置いて。。
