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こまきのブログです。

好きなアルバム紹介⑩〜「SCENEⅢ」(ASKA)

komaki-13252005-12-14

以前このブログでも書きましたけど
(☆6月19日の日記「私の音楽歴」
http://d.hatena.ne.jp/komaki-1325/20050609


私、インスト音楽にはまる前は、
CHAGE&ASKAのすっごいファンでした。
本当に大ファンでした。
なんたって、韓国ライブまで
追いかけて行きましたからねえ。
(ええーっ)


CHAGE&ASKA、今も好きなんですけど、
でもやっぱり今はインストを聴いているのが楽しいし、
今自分の心をいちばん熱く揺り動かすのは梶原さんのギターだから、
以前ほどの情熱でCHAGE&ASKAを聴く事はもうできません。


でも先月リリースされたASKAさんのソロアルバム
「SCENEⅢ」は、本当に素晴らしかった。感動しました。
久しぶりにASKAさんのアルバムを聴き込みました。
本当に素敵なアルバムでした。


って事で、今回はこのASKAさんのソロアルバム
「SCENEⅢ」のご紹介です。


SCENEIII (初回限定盤)(DVD付)

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ASKAさんは、ソロアルバムでは今までに
「SCENE」「SCENEⅡ」「NEVER END」「ONE」「KICKS」
の5枚のアルバムをリリースしています。
そして今回リリースされた6枚目のソロアルバムが「SCENEⅢ」。


「SCENE」シリーズは、ASKAさんのバラードアルバムシリーズです。
他のソロアルバム「NEVER END」「ONE」「KICKS」では、
音楽的実験や冒険を、積極的に行っています。


世間一般のCHAGE&ASKAの印象、ASKAさんの印象って、
一体どんな感じなんでしょうね?
やっぱり「ラブソングのチャゲアス」「ラブソングのASKA
なんでしょうかね?


確かにシングルカットされる楽曲はラブソングが多いけれど、
チャゲアスの楽曲には、シングルカットされていない
「アルバム曲」にこそ名曲が多くて(ASKAさんソロもそう)、
その中にはラブソングではない、
「生き様系」(人生をどう生きるかの葛藤を歌うような曲)な
歌詞の曲もいっぱいあって、
私はどっちかというとラブソングよりも、
チャゲアスのそういう「生き様系」の楽曲の世界が好きでした。


だから、11月にリリースされるASKAさんのソロアルバムが、
「SCENE」シリーズの一環である「SCENEⅢ」である事を知ったとき、
私は正直ちょっとがっかりしてたんですよ。
「あぁ〜、SCENEシリーズかぁ。
って事は、ラブバラード集になるんだなぁ。」って思って。


しかし!この「SCENEⅢ」、
いざ聴いてみたらとーーっても良かったのですよ〜〜。


ASKAさんって、攻撃的な部分をとても強く持っている人だと思うんです。
ASKAさんの楽曲の中には、
そういうASKAさんの「攻撃性」がはっきりと見えるものがあって、
私はASKAさんのそういう世界がめっちゃくちゃ好きなんですけど、
でも今回のアルバム「SCENEⅢ」では、
ASKAさんのそういう攻撃性は、全く影を潜めています。
優しい部分のASKAさん全開のアルバムです。


ASKAさんの攻撃的なところがすごく好きな私ですが、
でも今回ASKAさんの、こういう「とことん優しい」サウンド
久しぶりにどっぷり浸って、
「あぁ〜、ASKAさんのこういう優しい世界も、いいなぁーー。」
って心から思いました。
とてもあたたかい世界が、ぎゅっと詰まっているアルバムです。


ASKAさんがこのアルバムで目指したのは
「古き良き時代のアメリカ」のサウンド
アルバム全体を通じて、生音、ストリングスがふんだんに使われ、
昔の映画音楽を思わせるような、
どこか懐かしい雰囲気の仕上がりになっています。
そして懐かしいんだけど、古くはない・・・という。
聴いていると、とてもほっとする感触があります。


前書き長くなっていますが、ここからはこのアルバム「SCENEⅢ」の中で
特に好きな楽曲について、感想を書いてみます。
(数字はトラックナンバーです。)


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●1.「birth」
“子どもは生まれてくる時の事を覚えている”・・・という
最近になって証明されつつある現象をテーマにした曲だそうです。


この曲の歌詞って、いろんなテーマが
織り込まれている感じがしますねー。
最初に書いた「生誕の情景」もテーマのひとつだし、
あと、前世とか来世とか輪廻転生とか、そういう事も
歌詞の中に入っているような気がします。


あと、「“偶然”と思える事は実は偶然ではなくて“必然”で、
前から決まっていた事なんだよ。」
というテーマもこの曲の歌詞の中に入っている感じがします。


自分で新しい場所を選んだり、
あるいは人とのとても印象的な出会いをした時に、
「何だかこれって、前から決まっていた事のような気がする。
あるいは誰かの手によって決めらている事のような気がする。」
って感じた事はないですか?私はあります。
だから、ASKAさんの「僕はここに来ることを知ってた」っていう歌詞は、
すごく、わかるわかるー!という感じがします。


この曲は最初はマイナー調の
とてもミステリアスな雰囲気で始まるのですが、
サビに入った瞬間に、ばんっ!とメジャー調に転換します。
この瞬間が本っ当に気持ちいい!突然ぶわっと世界が広がる感じ。
サビのメロディーはとても新しい感じがするし、
青空をびゅーんと飛んでるような気持ちになります。



●3.「愛温計」
部屋の中に差し込む、朝の穏やかな光を感じさせるような、
優しいピアノで始まる曲。


ものには温度がある。人の気持ちや心にも温度がある。
そういう「人の心の温度」が重なるあたたかい瞬間を、
愛し合うふたりがベッドの中で共に過ごし、
朝を迎えるまでの幸せな時間の情景に重ねて歌った曲。


ASKAさんにしか書けない優しい綺麗な歌詞、
あたたかい穏やかなメロディーラインです。


「優しさに離れたり さみしさに向かったり
心はなぜ 生まれ方が違う」
という歌詞は、聴いているとすごく共感しちゃって、
涙が出そうになっちゃうな。


この曲のラストには、『はじまりはいつも雨』の
歌詞とメロディーラインが、すっと一瞬だけ織り込まれています。
この部分を聴いた時私は「おぉ、素敵〜」とも思ったけど、
その一方で「・・・それってずるくないですか、ASKAさん」
とも思いました(笑)
ASKAさん自身も、この箇所については
「不謹慎かな?でも聴き手の気持ちを
引き寄せる事のできる場所になるのかも」と思ったそうです。


ASKAさんの中で、この「愛温計」のサビ直前の雰囲気が、
「はじまりはいつも雨」のサビ前の世界と重なったんだそうです。
うん、なんかわかる気がするなぁ。
本当に優しくてあたたかい、素敵な歌です。



●4.「walking around the Xmas」
ウクレレサウンドがふんだんに使われたクリスマスソングです。


・・・って書くと、「え?何それ??」って感じに
なりますよねー?
だってふつう、「ウクレレ」といえばやっぱり夏!
南国風の曲に使われる楽器ですもんね。
でもなぜかこのウクレレが、クリスマスソングにも
ぴったり来ちゃって不思議です。


何でこんんなに違和感ないんだろう?って考えたんですけど・・・
ウクレレって、いい意味でその音の中に
「深刻さがない」楽器ですよね。どこか楽天的な感じがするというか。
「ま、難しく考えずに気楽に行こうぜ〜」な
雰囲気が漂ってるというか。
そういうウクレレの、ハッピーハッピーな感じが、
クリスマスの賑やかな情景に、ぴったり合うのかなあ、と
勝手に思ってみたり。


この曲「walking around the Xmas」はとにかくリズムが楽しい曲!
鈴の音もしゃんしゃん鳴ってて、楽しい楽しい♪
ASKAさんのボーカルも非常にポップでキュートです。
聴いているとクリスマスの街の賑やかな情景が
頭の中に浮かびます。



●5.「心に花の咲く方へ」
このアルバム唯一の生き様系ソング。


「今も遠くも 人は誰も 真っすぐ伸びた 円を歩く
今日に明日に 寂しくなったら 心に花の咲く方へ」


「今も遠くも 人は誰も 真っすぐ伸びた 円を歩く
今日の明日の 風を受けたら 心に花の咲く方へ」


・・・この曲の全ては、このサビに向かって
進んでいるような気がします。


今を生きる私たちも、遠い昔の人たちも、
自分の信念と向き合いながら、迷いながら歩いている。


人生の岐路に立ったり、
寂しくなったり迷ったり、あるいは追い風を受けたような時には
自分の深層意識の中で、
自分がGOを出す方・・・「心に花の咲く方」へ行け、
というのがこの歌のテーマかな、と思います。


熱く丁寧に歌い込まれるサビのシーンが本当に感動的です。



●8.「loop(“birth” reconstructive mix)」
1曲目「birth」のリミックスバージョンです。


「birth」の歌詞が断片的に繰り返される中、
どんどんリズムや楽器の音が増えて行って
世界がぶわーっと広がって行き、
アフリカンミュージックっぽい世界が展開されます。


で、世界が広がって最高潮!になったところで、
ふっと一瞬ブレイクが入ります。
このブレイク部分でASKAさんの「愛が愛に抱かれたら・・・」という
つぶやくようなボーカルが入り、
ハープの音色がポロロンッ、ときらめく光のように鳴り響きます。
聴いていると、自分の心の中の小さい深い湖の中に水滴が落ちて、
波紋が静かに広がっていくような、そんな感覚を覚えます。


そんな印象的な、深く短い一瞬のブレイクの後に、
遠くから記憶が戻ってくるような感じで、
リズムや楽器の音色が、またざわざわと戻って来ます。


ラストはそこにストリングスが重なり、
雄大な広いメロディーを奏でます。
やがてはリズムがだんだんと消えて行き、
ラストにはストリングスだけが
何かのメッセージの余韻のように残っている・・・。


このリミックスは本当に面白い!
はまっちゃって、何回も聴きました。



●9.「抱き合いし恋人」
「世は移れど 君恋し
星の灯る夏の夜空に 抱き合いし恋人」
・・・大正ロマンを思わせるような
少し古風な言葉づかいの歌詞で始まる曲。


この曲もストリングスの響きが豊かで、本当にロマンチック。
きちんとしたコンサートホールで
バックにオーケストラを従えてASKAさんが歌ったりしたら
素敵だろうな〜。
(11月にそういうコンサートが実際にあったのですが
東京だったので行けませんでした/泣)


「きっと幸せは
ほんのわずかな愛を見逃さないこと」
という歌詞が大好きです。
本当に、そうですよね。


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ASKAさんは、今回のアルバムで、
世間の流行とか、そういうものとは離れたところで、
「時代を超えて残っていく、普遍的な歌」を歌ったんだと思います。


ASKAさんが「ほんとうに歌いたい歌」を
「ほんとうに心をこめて」歌ったんだと思います。
私はASKAさんの歌の「嘘のなさ」が本当に好きです。



それにしてもASKAさんの歌い方は
以前と本当に変わったなー、と思います。


以前は、どこまでも澄んでいて、
どこまでも伸びていくような、そんな声でした。


でも最近のASKAさんの歌い方は、
「どこまでも伸びていく歌声」というよりは・・・
「人の心の深いところに届く歌声」という感じがします。
聴く人の心をぎゅっと抱きしめて、あたためるような、そんな歌声。


実際私もこのアルバム「SCENEⅢ」を聴いて
そういう気持ちになったし、
ASKAさんに「ありがとう」って言いたい気持ちになりました。



心も体も冷え切る冬。
そしてつらく悲しい事件ばかりが起こる今のこの時勢。
そんな中でこのアルバムを聴くと、本当に心があたたまるし、
人としての大事な事を思い起こすような感覚があります。


人が人を大切に想う気持ちっていうのは、
本当にかけがえのない、
何ものにもかえがたい気持ちなんですよね。


そういう大切な気持ちを、
ASKAさんがひとつひとつの歌を通して
私たちに丁寧にあたたかく伝えてくれる、
そんな素敵なアルバムです。


ASKAさん、本当にいい歌を歌っているなぁー、と感動しました。
長く大切に聴き続けるアルバムになりそうです。