ある日の朝。
早い時間に目が覚めました。
時計を見ると午前四時半。
うぐいすの鳴き声が聞こえてきました。
ホー、ホケキョ。
ホー、ホケキョ。
なんだか頼りない歌声で、一生懸命練習しているような鳴き方です。
何度も同じ場所を繰り返して弾いている子どものピアニストみたい。
「なんだか納得いかないんだよなぁ」と首をひねりながら
何度もしつこくワンフレーズを練習しているミュージシャンみたい。
ベッドを出てカーテンを少し開けて外を見てみると、
朝のまっさらな光に照らされた自分の町が見えます。
今の季節は、朝の四時半でもこんなに明るいんだな。
まっさらな光に照らされたまっさらな町を見ていると、
そして健気に練習し続けているうぐいすの声を聴いていると、
「なんだか今日はいい一日になりそうだ。」と思えてきます。
私はもう一度ベッドに入りました。
まだもうひと眠りできる時間があります。
ホー、ホケキョ。
ホー、ホケキョ。
うぐいすの声が聞こえてきます。
まだ練習してる。
朝の光景の中で、一生懸命鳴き方の練習をしているうぐいすの事を想いながら目を閉じると、
私はなんだか幸せな気持ちになりました。
自然と少し微笑んでいたような気もします。
うぐいすの事を想いながら、
うぐいすの声を聴きながら、
私はもう一度、束の間の短い眠りに落ちました。