It Will Be Fine!

こまきのブログです。

好きな文章14

「俺はさ、おじさん、こう思うんだよ」と青年は続けた。「これから何かちょっとしたことがあるたびに、ナカタさんならこういうときにどう言うだろう、ナカタさんならこういうときにどうするだろうって、俺はいちいち考えるんじゃねえかってさ。なんとなくそういう気がするんだね。で、そういうのはけっこう大きなことだと思うんだ。つまりある意味ではナカタさんの一部は、俺っちの中でこれからも生きつづけるってことだからね。まああんまりたいした入れ物じゃねえことはたしかだけどさ、でも何もないよりゃいいだろう」
 しかし彼が今話しかけている相手は、ただのナカタさんの抜け殻に過ぎなかった。いちばん大事なものは、ずっと前にどこか別の場所に去ってしまっていた。青年にもそれはよくわかっていた。


村上春樹著「海辺のカフカ (下) (新潮文庫)」より)


 


海辺のカフカ」読み返し終わりました。


不思議なことなんだけど・・・


去年読み返したときには特に心に響かなかった箇所が、
今回読み返したときには心に響きすぎるぐらいに深く響いて
そういう箇所を号泣しながら読んだりとか・・


かと思えば、去年読み返したときの自分の涙のしみがついているページを、
今回読み返したときにはわりと平静な気持ちでさらっと読めてしまったりとか・・


不思議だなあと思います。



去年の自分と今の自分では違うのだな、と思いました。


「成長した」とはとても言えないけれど・・・
でもとにかく、去年この本を読んだときの私と
今の私では「違う」のです。



下巻の後半・・・カフカくんが森に入って
佐伯さんに再会するシーン以降は
もう涙なしでは読めない感じで、
ずっとぼろぼろ泣きながら読んでいました。


文章に自分の気持ちを熱く重ね合わせるような感じで、
ぎゅっと抱きしめ合うような感覚で、読んでいたと思います。


痛かったり苦しかったり切なかったりもしたけれど、
でも同時に、幸せでもあったような気がします。



この本の中で私がいちばん愛している文章は、
ラストシーンの、本当に最後の一行の文章です。


その文章をここに引用することは、あえてしませんが。。。
(書いたら自分の大切な何かが減ってしまうような気がするから。。)



私のことを誰よりもわかってくれる、大切な親友みたいな本です。


本当にありがとう。




明日は梶原さんに会いにいきます。


誰よりも大切な人のギターを聴いてきます。