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こまきのブログです。

感情の仕込み

三ヶ月間の期間限定で復活した村上春樹さんのホームページ、
『村上朝日堂』(http://opendoors.asahi.com/asahido/
の「フォーラム」(読者と春樹さんのメールのやり取りを掲載したもの)が
最近がんがん更新されていて、とっても嬉しいです。


先日更新された「フォーラム」に掲載されていた春樹さんの文章の中で、
読んでいて非常に心に響くものがありました。


ある読者からの
「悩んだり、自信を失った時に春樹さんの小説を読んで、
勇気づけられています。」といった内容のメールに対しての、
春樹さんの返信の内容です。



クールに生きるのはなかなか大変ですね。腹が立ったらかりかりしちゃうし、
いやなことを言われれば落ち込みます。それが人の感情としては自然なことです。
ですから、クールに生きるためには、常日頃から感情の「仕込み」をしておく必要があります。
心の奥の部屋に「非常食」みたいなのをしっかりと貯めておくわけです。
そうすれば、いざというときにクールな顔でしのげます(もちろん限度はありますが)。


さて、「仕込み」はどうやってやればいいのか? 
いちばんいいのは、いろんな状況の予行演習をしておくことです。
本を読むのもそのひとつです。あなたがやっているように。
もうひとつは、自分のおかした失敗から教訓を学ぶことです。
僕はたくさん失敗しますので、学ぶことがたくさんあります。
あなたはいかがですか?
村上春樹


※「村上朝日堂」フォーラム18の173より

私は数日前に春樹さんのこの文章を読んで、
とても癒されるものを感じたし、勇気づけられもしました。
何度もこの文章を読み返しました。


「感情の仕込み」って何て素敵な言葉なんだろう、と思って感動しました。
私は何によって「感情の仕込み」をするだろう?と
いろいろ思いをめぐらせてみました。



音楽を聴く事も、私にとっては間違いなく
「感情の仕込み」のうちのひとつだと思います。


本を読んで自分の考え方や価値観を整理したり、新しい価値観に出会ったり、
感情を深めて行くのも大切な事。


仕事や日常生活のさまざまな出来事の中で、
嫌な思いをしたりさまざまな失敗をする事の中から、
何かをしっかりと学んで行く事も、「感情の仕込み」のひとつでしょう。
他にもさまざまな種類の「感情の仕込み」があると思います。



「感情の仕込み」、「心の奥の部屋の非常食」、「いろんな状況の予行演習」・・・
これらのキーワードを心の中で繰り返していると、
自分の心があたたかく励まされ、勇気づけられる感触があります。
どうしてなんだろう。



強くなりたいなあ、と思います。本当に私は弱い。


春樹さんの小説『アフターダーク』の中で登場人物のマリが言った、
「私だって、自分というものがうまく打ち立てられたわけじゃないのよ。
狭い世界の中で、しょっちゅう足もとをふらふらさせている。」
という言葉にとても共感します。


「自分を打ち立てる」っていう言葉、好きだな。
日々の感情を丁寧に積み重ねて、
私もしっかりと自分自身を打ちたてて行きたい。
自分自身のしっかりとした「ものさし」を作りたい。


ちょっとやそっと嫌な事があっても、
すぐにぐらぐら動揺したり落ち込んだりしないで、
「大丈夫だよ。大した事ないよ。」とけろりとした顔で
にこにこ笑っていられるようになりたいのです。


それが春樹さんの言うところの
「クール」の意味なのかな、と思ったりします。



クールに生きて行く為には強くならなくてはいけないな、と思います。
そしてきっと、深い優しさも必要かな。


道のりは遠そうですが、少しずつ積み重ねて行きたいと思います。
自分なりに、心をこめて。