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こまきのブログです。

好きな本紹介⑥〜「4TEEN」(石田衣良)

4TEEN (新潮文庫)

4TEEN (新潮文庫)


初めて石田衣良さんの本を読みました。


感想は。。
石田衣良さんって、純粋なんだなぁ〜!」
って感じでしょうか。
うん、ほんと純粋。


石田衣良さんの文章って、
色鮮やかな透明のカラーフィルムが、しゃっ!しゃっ!と
交錯して行くような、そんなイメージの文章でした。
若さあふれるハツラツとした文章、という印象もあったなぁ。
(って、年齢はそんなにお若くもないのか)


この「4TEEN」は、14歳の
テツロー、ナオト、ダイ、ジュンの仲良し四人組の物語。


読んでて、すごく自分の「14歳の頃」を思い出しちゃいました。


私は、この四人がこの物語の中でやってるような事は
しなかったけど(笑)
でも、この子たちの間に流れている「気持ち」みたいなのには
すごく共感します。
14歳って、ほんとこんな感じだったなあ。


「大人たちよりも、自分たちの方がえらいんだ。すごいんだ。」
みたいな事を、本気で思ってて。
ある意味傲慢で。
でもその傲慢さには、何だか勢いとパワーがあった。


村上春樹さんが、
「若い人の傲慢さは、直接権力と繋がっていないから、気持ちがいい。」
みたいな事を言っていたけど、
14歳の傲慢さって、そういう種類のものだと思います。



エラそうなところもありつつ、
胸の中は常にぐるぐるしていて、不安定でもろかった14歳。
そういう感情を、この本を読んでいて
とってもリアルに思い出したし、なつかしかったです。



ぼくたち三人はそこでしばらく朝焼けを見ていた。空の色が見ているうちに、どんどんダイナミックに変化して、空一面に朝の光が広がっていく。それは三人の誰も言葉にだして確かめたりしないほど見事な朝の訪れだった。吸うたびにのどを冷ます朝の冴えた空気、黒っぽい朱色から透明な黄色へ変わっていく太陽、日ざしを受けて端正に縦のラインを浮き立たせる高層ビル。ストリップ劇場のステージは忘れてしまったけれど、その時の夜明けの感じを今でもぼくははっきりと覚えている。


石田衣良著「4TEEN」より)

いいなあ、こういう文章。


・・・っていうか、「“ストリップ劇場”ってどういう事?!」と思った方は、
この本を読んでみて下さいね(笑)



この「4TEEN」は短篇集なんですけど、
この中で私が特に好きだった話は
「飛ぶ少年」と「空色の自転車」と「十五歳への旅」かな。


「空色の自転車」では、ダイが自転車について語るシーンで、
読みながら泣いてしまいました。。くぅー。
本読みながら泣いたのって、久しぶりかも。


ちなみに過去に読みながらいちばん号泣した本は
浅田次郎の「鉄道員」です。ベタですけど(笑)
あれは本当においおい泣きながら読みました。
なんであんなに泣いたんだろ。



私は個人的にはこの「4TEEN」という作品から
「深み」みたいなものはあまり感じなかったけど、
とにかくこのスカーン!とした青空みたいな純粋さが、
読んでて本当に気持ちよかったです。
そこはぴったり来たかな。


またあの感覚を味わってみたいなー、と思うので
他にも石田衣良さんの本、読んでみようと思ってます。