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こまきのブログです。

好きな文章15〜「海辺のカフカ」(村上春樹)より

 僕は言う。「ねえ、大島さん、僕のまわりで次々にいろんなことが起きる。そのうちのあるものは自分で選んだことだし、あるものはぜんぜん選んでいないことだよ。でもそのふたつのあいだの区別が、僕にはよくわからなくなってきているんだ。つまりね、自分で選んだと思っていることだって、じっさいには僕がそれを選ぶ以前から、もう既に起こるときめられていたことみたいに思えるんだよ、僕はただ誰かが前もってどこかできめたことを、ただそのままなぞっているだけなんだっていう気がするんだ。どれだけ自分で考えて、どれだけがんばって努力したところで、そんなことはまったくの無駄なんだってね。というかむしろ、がんばればがんばるほど、自分がどんどん自分ではなくなっていくみたいな気さえするんだ。自分が自分自身の軌道から遠ざかっていってしまうような。そしてそれは僕にとってはひどくきついことなんだ。いや、怖いっていうほうが近いかもしれない。そう考えはじめると、ときどき身体がすくんでしまうみたいになるんだ。」
 大島さんは手をのばして僕の肩の上に置く。僕はその手のひらの温かみを感じることができる。
「もし仮にそうだとしても、つまりもし君の選択や努力が徒労に終わること宿命づけられていたとしても、それでもなお君は確固として君であり、君以外のなにものでもない。君は君としてまちがいなく前に進んでいる。心配しなくていい」


村上春樹著「海辺のカフカ(上)」より)


なんか最近、この大島さんの言葉をよく思い出すんです。


いろんな事で不安になると、心の中で繰り返します。


「もし仮にそうだとしても、
つまりもし君の選択や努力が徒労に終わること宿命づけられていたとしても、
それでもなお君は確固として君であり、君以外のなにものでもない。
君は君としてまちがいなく前に進んでいる。心配しなくていい」



私は確固として私であり、私以外のなにものでもない。
私は私としてまちがいなく前に進んでいる。心配しなくていい。
心配しなくていい。。


不安になって止まりそうになると、
「止まるな!進めー!!」
って自分自身に言い聞かせてます。