朝のリレー

「朝のリレー」谷川俊太郎

カムチャツカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受け止めた証拠なのだ

この詩は、確か以前
コーヒーか何かのTVCMで使われていたと思うので
ご存じの方も多いのではないでしょうか。
とても好きな詩です。

誰もがきっと、こういう光景や想いを
夢見て憧れていると思うんだけど、な。

実際には、いろいろな事が、いろいろ難しい。
でも、それでも。

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詩は、目で追って読むだけじゃなくて、
実際に声に出して読んでみるのもいいですよ。

自分の好きな言葉、きれいな言葉が自分の体の中で響き、
自分の体の一部になっていく感覚。
なかなか素敵な感覚です。