It Will Be Fine!

こまきのブログです。

タクシードライバー in 広島

19日の、Smoky Kondoさんのバースデイライブの後、
http://d.hatena.ne.jp/komaki-1325/20051119
なんだかんだで(笑)帰るのが遅くなり、
挙句の果てに、案の定道に迷ってしまったので(爆)←方向音痴
ちょっと贅沢だったけど、ホテルまで戻るのに
タクシーを使いました。



タクシーに乗り込んで
「インテリジェントホテルアネックスまでお願いします。」と
私が告げると、


「はい、インテリジェントホテルですね。川沿いの方ですよね?
最近は“インテリジェントホテル”っていう名前のホテルも
いっぱいあって、混乱しちゃって・・・(苦笑)」
と運転手さん。


この運転手さんは、50歳ぐらいの方だったかなぁ。
なんとも落ち着いた、紳士的な穏やかな口調の運転手さんでした。
とても誠実な雰囲気の方。


私は文章ではべらべらしゃべりますが、
実際に人と会う時には基本的に人見知りで(ライブ友達は別/笑)、
見知らぬ人に自分から積極的に話しかけていくタイプではありません。
打ち解けるとすごくしゃべるんですけどね。
でも、その「打ち解けた状態」になるまでに、
ちょっと時間がかかるタイプです。


だから、普段ならタクシーに乗った時に、
運転手さんに自分の方から話しかけるような事も、まずありません。


でも、この運転手さんの穏やかであたたかい話し方、
その誠実な声のトーンには、
「この人ともっと話をしてみたいな」と思わせる
不思議な何かがありました。


なので自分にしては珍しく、
積極的にこの運転手さんに話しかけてみました。



(以下、運転手さん=運)


運「どちらからいらしたんですか?」
私「神戸です。」
運「へぇ〜、そうですか。」


私「最近はさっきおっしゃっていたように、
  広島にはどんどんホテルが建っているんですか?」
運「そうですねー、ホテル自体が増えたり、あるいはホテル同士が統合して
  名前が変わったり、っていうのが多いですね。」
私「そういう場合、運転手の方々はどうやって
  ホテルの位置と名前を覚えるんですか?
  やっぱり地図を見て、勉強したりするんですか?」
運「いや、やっぱりこの仕事も長いですから、
  地図を見なくても話を聞けば、だいたいはわかりますねー。」



私「今日、平和記念資料館に行ってきました。」
運「あぁ〜、そうですか。外国の方も、いらっしゃってますよね。
  アメリカ人観光客のツアースケジュールに
  平和記念資料館を組み込む場合は、
  そのスケジュールの“最後”に
  平和記念資料館に行くようにしているそうですよ。
  スケジュールの最初に平和記念資料館に行くと、
  ショックを受けてもうそのままホテルに戻っちゃう、
  という方もいらっしゃるそうです。
  だから、平和記念資料館はスケジュールの最後に
  組み込まれるそうです。」


私「日本人の私達と、アメリカ人の方では、
  受けるショックの種類が違うという事ですね。」
運「そうですね。やっぱり
  “自分達の国が、こういう事をしてしまったんだ”という
  そのショックを大きく受けるみたいです。」



運「被爆者の方から、原爆投下直後の話を聞いた事があります。
  原爆投下後、その方が、倒れている人を助け起こそうと足をつかんだ時、
  そのつかんだ足が、まるで豆腐が崩れるように、
  もろもろと崩れ落ちてしまったんだそうです。
  その時の手に残った感触っていうのは、どれだけ年月が経っても、
  どれだけ時間が経っても、絶対に消えないものなんだそうです。」
私「そうですか・・・。」



こういう会話を続けているうちに、ホテル前に到着しました。


運「明日は、宮島ですか?お気をつけて。」
私「はい、ありがとうございます。」



広島の街を走りながら、
夜の深い時間に、ほんのひととき、狭い空間の中で、
私と運転手さんは親密な気持ちで話をして、
そして別れたのでした。


たぶんあの運転手さんと私が出会う事は、もう一生ないでしょう。
でも私は、この時の運転手さんとの会話を、
ずっと覚えているような気がするなぁ。