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こまきのブログです。

河合隼雄×東儀秀樹

東儀秀樹さんの、雅楽に対するお話に聞き入ってしまいましたー。


対談番組の冒頭で、河合さんの前で「笙(しょう」という楽器を吹いてみせた東儀さん。
和音が鳴るんですね、この楽器。すごーい。
なんだかパイプオルガンの音色みたいにも聞こえました。


この「笙(しょう」の音色を聴いた河合さんが
「これは天上の音色ですなあ。」と感想を言うと、


東儀さんは、
「そうなんです、この笙は“天”を表す楽器なんです。天上から射し込む光を表現しています。
篳篥(ひちりき)は人の声・・・地上を表します。
そして龍笛(りゅうてき)は空間を飛ぶ龍の声・・・空間を表します。
天、地上、空間、これからの楽器を組み合わせて
雅楽は“宇宙”を表現しようとしたのです。」
とおっしゃって。
(細かいところが違うかもしれないけれど、
大体このような意味合いの事をおっしゃっていたと思います。)


私この話聞いて感動しちゃいました。すごいすごい!
「組み合わせて宇宙を表現」かあ、すごいなぁーー。
雅楽に限らず、音楽はある意味全てそういうものかもしれない、とも思ったり。)



「普通西洋などの楽器は“人間が演奏しやすいように”と、
人間に楽器を合わせるかたちで改良されてきたんだけれど、
日本人はそれを好まなかった。
“楽器に人間が合わせるかたち”で、雅楽の楽器はそのままの姿で
ずっと受け継がれてきた。」
という話も面白かったなー。



その後話は、いわゆる決まった「型」を受け継いでゆく雅楽についての話題になりました。


現在は東儀さんは、いろんな音楽と雅楽を融合させた新しいタイプの音楽を演奏されているそうですが、
東儀さんは以前は宮内庁にお勤めで、そこで古典雅楽を演奏されていたそうです。


で、河合さんと東儀さんで古典雅楽の話になって。


河合さんが東儀さんに
「古典雅楽を演奏していて、“型にはめられている”と感じた事はないのですか。」と問うと、


東儀さんは、
「“型にはめられている”というよりは、“型に身を委ねる”という感じでした。
古典雅楽の型というものは、何百年もかけて人々が作り上げて来たもので、
型を崩したり、そこに新たに何かを入れようという余地はない、完璧なもの。
それを日本人はずっと受け継いできたのです。僕は古典雅楽に敬意を持っています。
その型へのその人の情熱や、“その型をどのように解釈し、深く追求してゆくか”が、
その人の個性となります。」


ふーーむ!これもすごい話です。
この東儀さんのお話を聞いて、私の中で
雅楽とか、日本の伝統芸能に対する考え方が今までとはがらりと変わりそうです。
私の中では今まで正直、雅楽とか日本の伝統芸能に対して
「型どおりの、決まりきった、つまらないもの」という
イメージがどこかあったんだけど、東儀さんのこういうお話を聞くと
これからは違った視線で接する事ができそうな気がします。
「個性」というものについても、また新たな視点を持つ事ができそうかな。。


この東儀さんのお話の後の河合さんの言葉、
「それは“しょうもない型”ではダメなわけですな。
やっぱり“すごい型”でないと。
日本の教育は、“しょうもない型”に“しょうもないやり方”で
はめようとする事が多いですからね。」
も良かったな。
私たちがいろんな場面で気をつけないといけない事じゃないかな。



他にもいっぱいいっぱい素晴らしいお話があったんだけど、
とめどなく長くなりそうなのでこのへんでやめておきます。


いやー、すごい方だったなあ、東儀さん。
理路整然と、ものすごくわかりやすくお話してくれて。
めちゃくちゃ頭のいい方なんだろうなー。


そして「聞き上手」な河合さんも、やっぱりすごかった!
話の合間合間に、短く的確な言葉でぽんっとあいづちを打ち、感想を言う。
その言葉は相手の話の核心をついているし、
また次の話題への発展をすっと誘ったりもする。


すごいなあ。
全神経を集中して、いつも人の話を聞いているんだろうなあ。
そうじゃないとあんな事できない。
でもぴりぴりと緊張した感じじゃなくて、
河合さんの周りに漂っているのは、
いつものんびりほんわかとした、リラックスした穏やかなムード。


河合さんがそんな感じだから、
番組冒頭では少し緊張した感じで固い表情だった東儀さんも、
番組が進むにつれて「まだまだ話す事がある!」みたいな感じでとめどなく話しだして。
河合さんを相手に話をしていると、「この人にはどんどん話そう」という気持ちになるんだろうなー。



初めてテレビ画面で見た動く河合さんは、
笑顔の素敵な、とても爽やかな軽やかな雰囲気の方でした。
ものすごい肩書きを持った、いわゆるものすごく「偉い人」なのに、
そういうところが全然見えなくて。
しがらみや、悪い意味での「重たさ」みたいなものも全然感じさせなくて。
素敵な方だなー、と思いました。


私は河合さんの本を読んでいると、
「河合さんはもちろん臨床心理学が好きなんだろうけど・・・
それは“人の為の”臨床心理学なんだろうな。」
という事を感じるんです。


河合さんは人間というものが好きで、
「その河合さんが愛する人間というものが、少しでもよりよく生きていけるための」臨床心理学、
という感じがすごくするんです。


ちょっとわかりにくいかな。。
なんというのかな、河合さんの臨床心理学は、
「研究のための臨床心理学」じゃなく、「人のための臨床心理学」という感じがするんですよね。
河合さんの文章からは、「人への愛」みたいなものが、すごく感じられるんです。
じわあっと、あたたかく。にじみ出るように伝わってくる。
そこがすごく好きなところですね。


他の番組で、視聴者からの
「河合先生のおかげで本当に子育てが助かりました。」といった
FAXが読まれたとき、
河合さんは「嬉しいですねえ」と目を細めて、本当に感動した感謝の表情を顔に浮かべていて、
そんな河合さんを見ていて、私は心から「ああ、素敵な方だなー」と思いました。


一度でいいから、生で河合さんの講演を聞いてみたかったなぁ。。


でももうそうれは、叶わぬ夢となってしまったので。
これからも河合さんが遺してくださった著書を、大切に読んでいきたいと思います。



そして、最後にもう一回東儀さんの話題に戻りますけど、
以前梶原さんのオフィシャルサイトで、梶原さんのライブ日記の中に
「梶原さんが東儀さんのアルバムレコーディングに参加した」ってありましたよね?
あのアルバム私、絶対買いますよ!買う買う!
もう発売されてるのかなぁ?
なんていうタイトルのアルバムなんだろう。。