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こまきのブログです。

好きなアルバム紹介7〜「DJANGO」(MJQ)

8月にマリンバの発表会を終えて、
今、マリンバのレッスンでは、
再びJ&Bの「NOWADAYS」のコピーに取り掛かってます。


譜面のリズム表記を訂正しなくちゃいけなくて、
今日のお昼から、譜面の書き直し作業をやってたら
日が暮れてしまいました・・・(涙)


「NOWADAYS」のコピーに取り組み始めたのは、ちょうど去年の今頃。
その頃に、人から
「MJQとか聴くと、(表現面での)ニュアンスづけの勉強になるよ」と
アドバイスを頂きました。


で、「そうか!」と思った私は、
すぐにMJQ(モダンジャズカルテット)のアルバムを買いました。
今日ご紹介するのは、そのアルバムです。


Django

Django


MJQは、1952年に結成されたグループです。
メンバーは、
ピアノのジョン・ルイス
ビブラフォンミルト・ジャクソン
ベースのパーシー・ヒース
ドラムスのコニー・ケイの四人。
(※今回紹介する「DJANGO」というアルバムのドラマーは、
ケニー・クラークです。)


MJQは、ヨーロッパの古典音楽の香りをジャズに取り入れるなど、
洗練されたセンスが特色のグループです。


このグループのメンバー、
ミルト・ジャクソンは大変有名なビブラフォン奏者なんだそうで。
で、ミルト・ジャクソンのプレイを聴くと
マリンバで「NOWADAYS」をコピーする際に、
表現面でいろいろ参考になるんじゃないか、と
人ががすすめて下さいました。


私はビブラフォン奏者のアルバムは、このミルト・ジャクソンの他には
ゲイリー・バートン
ライオネル・ハンプトン
マイク・マイニエリ、
といった奏者のアルバムを少しずつ聴きました。


この中で個人的にダントツで好みなのは、
ゲイリー・バートンですね。すごく好き。


でも、J&Bの「NOWADAYS」をマリンバで演奏する上で、
そのプレイを参考にするとしたら、
この中ではミルト・ジャクソンのプレイが一番適していると思います。


ミルト・ジャクソンのプレイは、
ビブラフォンの一音一音の発音が、
聴いてて「粘っこい」感じがするんですよね。


言葉の発音に例えるなら
「ダァ、ディ、ドゥ、デェ、ドォ」
と発音しているような感じ。
アクセントのつけ方も、とてもパンチがあります。


「NOWADAYS」のエレキギターの歌い方を
マリンバでコピーしようとするなら(無謀だけど)、
このミルト・ジャクソンのプレイを参考にするのがいいだろうな、と
何となくそう思います。


スピーカーを「タイムドメインミニ」に変えてから、
http://d.hatena.ne.jp/komaki-1325/20051001
ビブラフォンの、一音一音の発音やニュアンスが、
非常に細かいところまでくっきりと聴き取れるようになったので、
もっとこの「DJANGO」のアルバムはしつこく聴きこみたいですね。


そうそう、今、村上春樹さんの「ポートレイト・イン・ジャズ」
という本を読んでいるのですが、
春樹さんがこの本の中でMJQの事を紹介しています。
ちょっと引用してみますね。


●僕が高校生だったころ、MJQの四人のスタイルは
僕らの目にはとんでもなくクールに映った。
当時ジャズ・ミュージシャンといえは、みんなきたないなりをして、
クスリをやって、自堕落な生活を送ってというイメージがあったんだけど、
MJQの四人はブルックス・ブラザーズ風の揃いのダークスーツにぴしっと身を包み、
白いボタン・ダウンシャツに、シルクのネクタイをしめていた。
髭を小綺麗にトリムし、ハンサムでインテリジェントだった。
そして彼らのステージマナーは、大学の先生みたいに物静かに抑制されたものだった。
たぶんジョン・ルイスがそういう戦略を練り上げたのだろうが、
いや、かっこよかったです。憧れた。


●逆説的な言い方になるが、MJQのユニットしての強力さは、
そのユニットとしての破綻性の中にある。
これは彼らの演奏を実際にステージで見ると、情景的によくわかる。
ほかの三人は設定されたコレクティブなサウンドをしっかり維持しているのだが、
ヴァイブのミルト・ジャクソンはソロの途中でそういうフォーマルなスタイルに
我慢しきれなくなって、がばっとスーツを脱ぎ捨て、
ネクタイをむしりとって−もちろん比喩的な意味でだが−
やおら個人的にスイングし始める。
でもそうなっても、ほかの三人は「我関せず」という感じで、
淡々と(でもないのかもしれないけど、少なくとも表面的には)
無表情にMJQ的リズムをキープしつづける。
やりたい事をやってしまうと、ジャクソンは何事もなかったように
またクールにスーツを着込み、ネクタイをしめる。それが繰り返される。
そのあたりのばらけと統一の融通無碍な転換が、
結果的にすごくスリリングで、すごくジャズになっていたのだ。
だからこそ彼らは20年もの長きにわたって、
たった一度メンバーを入れ替えただけで、
このユニットを営業的に存続させ、
音楽的にも高い質を維持する事ができたのだろう。


村上春樹著「ポートレイト・イン・ジャズ」より)


ミルト・ジャクソンは、春樹さんが書いているように、
非常に「個人的な」プレイの上手い、ワイルドなプレイをする奏者だと思います。
とてもアクが強いし、主張がはっきりしています。そこがかっこいいんですね。
でも、ミルト・ジャクソンが、奔放にアドリブを弾きまくっている時も、
他の三人のメンバーは、クールな姿勢を崩さずに演奏します。
このバランスが、おもしろいですねー。


アルバム「DJANGO」の中で、私が特に好きなトラックを紹介してみます。
(数字はトラックナンバーです。)


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【3】「LA RONDE SUITE」 a)Piano b)Bass c)Vibes d)Drums
四部から構成された、ピアノのルイス作曲の大曲です。
それぞれの楽章(?)ごとに、
ピアノ、ベース、ビブラフォン、ドラムスのソロがフィーチャーされます。


a)の楽章ではピアノのソロをフィーチャー、
b)の楽章ではベースのソロをフィーチャー、
c)の楽章ではビブラフォンのソロをフィーチャー、
d)の楽章ではドラムスのソロをフィーチャー
・・・というふうに。


この構成が、とーーってもかっこいいんですよねー!
J&Bでも、こんな楽曲作ってくれないかな。
楽章ごとに、それぞれのプレイヤーのソロが大フィーチャーされるような楽曲。


たとえば
a)の楽章で、浅野さんのブルージーな、泣きのギターソロを大フィーチャー。
b)の楽章で、秀樹さんのファンキーなベースソロを大フィーチャー。
c)の楽章で、タカさんのシンプルな(でもすっごく聴かせる)ドラムソロを
大フィーチャー。
そして、ラストのd)の楽章で、梶原さんに、
超オッラオラな、倒れそうにかっこいいハードなエレキギターソロで
ばしっと決めて頂く!!


きゃー、どうですか!J&Bファンの皆さん!
そんな楽曲聴いてみたいと思いません??


・・・はっ、妄想入って話が脱線しました(汗)すみません。


【5】「DELAUNAY'S DILEMMA」
ハッピーでライトなタッチのスイング。
とってもかわいい曲です。


【6】「ニューヨークの秋」
このアルバムに収録されている曲の中で、いちばん好きです。
季節が秋から冬に移り変わるぎりぎりの時期・・・
そういう、秋のいちばん深い地点で聴いて欲しい曲です。
とっても素敵なバラードです。
今の時期に聴くと、心に染み入りますよ〜。


【8】「MILANO」
昔の優しい思い出を、大切に思い返しているような雰囲気の曲です。
イタリアのミラノに捧げられた、ルイス作曲のバラードです。


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以上、ざざっと紹介してみました。
このアルバムの雰囲気は、全体的にとっても秋な感じがします。


欲を言えば、こういう年代のサウンド
レコードで聴くべきなんだと思いますが。


ご興味を持たれた方は、聴いてみて下さいね。