大島さんは鉛筆の消しゴムの部分でこめかみを何度か軽く押す。電話のベルが鳴りはじめるが、彼はそれを無視する。
「僕らはみんな、いろんな大事なものをうしないつづける」、ベルが鳴りやんだあとで彼は言う。「大事な機会や可能性や、取りかえしのつかない感情。それが生きることのひとつの意味だ。でも僕らの頭の中には、たぶん頭の中だと思うんだけど、そういうものを記憶としてとどめておくための小さな部屋がある。きっとこの図書館の書架みたいな部屋だろう。そして僕らは自分の心の正確なありかを知るために、その部屋のための検索カードをつくりつづけなくてはならない。掃除をしたり、空気を入れ換えたり、花の水をかえたりすることも必要だ。言い換えるなら、君は永遠に君自身の図書館の中で生きていくことになる」
- 作者: 村上春樹
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「海辺のカフカ」読み終えました。
前にも書きましたけど、この本を以前初めて読んだときは、
あんまり好きじゃないなぁって思ったんです。
なんだか気難しい本だなぁって。
今回読み返して、心の底から感動しました。
たぶん今まで生きてきて本を読んだ中で、いちばん感動したと思います。
素晴らしかったです。
春樹さんは、何かの答えを私にくれたわけではありません。
ただ、「そこに向き合っていく力」をくれたのです。
「答えは自分の力で見つけなさい」と春樹さんは物語を通して
私に言っているようでした。
ここには引用しませんが、ラストが本当に素敵でした。
読み終えたとき、あのラスト一行に書かれている状態に、
本当に私はなっていました。
しっかり生きていきます。
春樹さんありがとう。
☆好きな文章1〜「海辺のカフカ」(村上春樹)より
(http://d.hatena.ne.jp/komaki-1325/20060620)
☆好きな文章2〜「海辺のカフカ」(村上春樹)より
(http://d.hatena.ne.jp/komaki-1325/20060621)
☆好きな文章3〜「海辺のカフカ」(村上春樹)より
(http://d.hatena.ne.jp/komaki-1325/20060623)