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こまきのブログです。

大河ドラマ「新選組!」

komaki-13252005-12-07

このブログで今までちらっ、ちらっと
書いて来ましたが
去年放送されたNHK大河ドラマ新選組!」に
私はめっちゃくちゃはまっていました。
大河ドラマを最初っから最後まで
全部見た、なんて初めての事です。


別に私は歴史上の「新選組」のファンとかではありません。
この大河ドラマを見るまでは、
新選組=暗殺集団」ぐらいのイメージしかなかったですね。


大河ドラマ新選組!」を見始めたきっかけは、
やっぱりこのドラマの脚本家が三谷幸喜さんだったからですね。
私の中では三谷さんといえば“喜劇作家”のイメージしかなかったし、
その三谷さんがつくる大河ドラマっていうのは
一体どんなものなんだろう?という興味があって。


あとは、あの出演俳優人の豪華な顔ぶれ&意外性ですよね。
SMAPの香取くんが新選組局長・近藤勇を演じる?!
・・・これには誰もが驚いたはず。意外でしたよねー。


香取くんだけでなく、多くの若手俳優を起用した
このドラマのキャスティングは、発表された当初
かなり賛否両論だったみたいです。
「視聴者のウケを狙っている」と・・・。


でも若手俳優の起用には、
三谷さんのきちんとした意図があったんですね。
「若手の俳優たちが、ドラマの中で新選組隊士として
じわじわと育っていく様子・・・それを
当時の新選組隊士たちがその時代の中で
実際に成長して行く様子とリンクさせたい。」
という。
まさしく三谷さんの意図した通りの
素晴らしいドラマになったと思います。


特に主演の香取慎吾くんの演技は、
この三谷さんの言葉そのままだったと思います。
ドラマがスタートした最初の頃は、
私は個人的に香取くんの演技を見ても
「なんで新選組隊士のみんなが、こんなにまで局長の近藤に
命を懸けようとするのかさっぱりわからん。
香取くんの演技は、“局長”に追いついてない。」
と思って見ていました。


でも後半の香取くんの成長っぷりはすごかった。
新選組隊士が「この人に命を懸けたい、自分の全てを懸けたい!」
と思うのも納得!の大きな大きな人間
“局長・近藤勇”を香取くんは堂々と演じ切りました。
すごかったなー。


この大河ドラマ新選組!」、最初の頃の放送は、
非常にコミカルなタッチで描かれていたんですよね。
そこにも「最初はコミカルなタッチで描いて、
後半をぐっとシリアスにして、新選組の悲劇性を際立たせたい」
という三谷さんの意図があったそうで。


芹沢鴨暗殺の回以降からは、ドラマの内容が
ぐんぐんぐんぐんシリアスになっていって、
もうほんと一回も見逃せない感じの濃い展開になりました。



大河ドラマ新選組!」は、私が今までに見た事のある時代劇とは、
全然違う種類のものだったんですよ。


なんていうのかな・・・私が今までに見た時代劇っていうのは
見てても、そのドラマの中の時代に生きている昔の人たちは
「私達とは別の種類の人間」という感じがすごくしたんです。
なんかこう、フィクションぽいっていうか。


でも、大河ドラマ新選組!」で描かれていたのは、
現代を生きる私達と全く同じ感情、同じ悩みを抱えながら生きる
「生身の人間」でした。
舞台は幕末であっても、そこに生きる人たちは、
現代の私達と全く同じ種類の感情を持った、生身の人間だったのです。


大河ドラマ新選組!」の中では、
人が集まってひとつの組織を形成して行く様子、
その組織が波に乗って行くときの勢いのある様子、
その組織を維持し続けて行くことの難しさ、
全盛を極めた組織が、時代の流れと逆行して衰えていくときの悲しさ・・・
そういった今の時代にも全く共通するような物事が
非常にリアルに描かれていたのです。


ひとりひとりの隊士の心情にも細かくスポットが当てられていました。
局長近藤勇の「人の上に立つ者の苦悩」、
副長士方歳三の「組織の“頭脳”として実際に新選組を回していた者の苦悩」
山南敬助の「自分の所属する組織と、自分自身の考えがすれ違って、
組織の中で居場所がなくなってしまった者の心の葛藤」
・・・などなど、他にも多くの隊士ひとりひとりの心情が
非常に細やかに描かれていました。


こういうのを見てて、
「あぁ、昔の人たちも、今の私たちと同じだったんだなあ。」
って思ったんです。
すっごく当たり前の事かもしれないんだけど、
その事がすごくリアルに実感できたというか。


昔の人たちも、今の時代を生きる私たちと同じように
悩んで苦しんで、自分の信念と向き合いながら生きてきて、
そして昔の人たちひとりひとりのそういう想いや
やって来た事が繋がって繋がって、
今の時代があり、今の私たちがあるんだなー、と。


だからそういう意味では「歴史を知る」という事は
とっても大切な事なんだなあ、とすごく思いました。
歴史を知るという事・・・それはきっと、
「自分自身の立ち位置を知るという事」なんだろうな、と思って。
今まで歴史小説とかにはちっとも興味が無かった私ですが、
大河ドラマ新選組!」を見て、
これからちょっとは歴史小説とかも読まなきゃいけないなー、と
思いました。(まだいまいち読めてないんですけど。。)


大河ドラマ新選組!」の中では、
「人が死ぬ」「人が切られる」という事も、リアルだったなぁ。
今まで見た時代劇とかでは、
人が刀でばさっと切られるようなシーンがあっても
「あぁどうせ、フィクションだから」みたいな感じがあったんですけど、
新選組!」のドラマの中で人が切られると、
私は本当にその「切られる痛み」「死ぬという事の重さ」みたいなのを
とてもリアルに感じる事ができました。
“血”の意味、みたいなのがすごくリアルだったなぁ。


それにしても、この時代って、ちょっと仕事で失敗とかしたら
「切られて死ぬ」のが当たり前だったりするんですよね。
これって冷静に考えたらすごくないですかねー?
私たちは仕事でどれだけ大きな失敗したって、
人から切られたりしませんからね。
いやー、昔ってすごい時代だったんだなあ。
そういう時代の中で、刀を腰に下げて
常に命の危険と隣り合わせて生きていく、っていうのは
どんな心境だったんだろう。



私はNHK大河ドラマで三谷さんが新選組
題材にすると知ったとき、
「なぜそんな、どうしたって結末が
悲劇的に暗くなるようなものを選ぶんだろう?
どうせ大河ドラマをやるんなら、坂本竜馬とかをやればいいのに・・・。」
と思ってました。
でも今は、三谷さんが大河ドラマの題材に選んだのが「新選組」で
本当に良かったなぁー、と思っています。


三谷さんは「歴史の勝者」はあまり好きじゃないんだそうです。
「歴史の敗者」ばかりに惹かれるんだろうです。
だからこその「新選組!」だったわけで。


私が「ただの暗殺者集団」ととらえていた新選組
でもその中には、ひとりひとりの人間の熱い志と、
熱い人間ドラマがあったんです。


この大河ドラマ新選組」を見て
私の中で新選組のイメージも大きく変わったし、
三谷幸喜さんという脚本家のイメージも大きく変わったし。
(三谷さんはもともと好きだったけど、
こんな熱い部分がある方だという事を知らなかったんです。)


三谷さんは本当に素晴らしいドラマを作り上げられたし、
役者さんたちも本当に素晴らしい演技をしました。


視聴率こそ低かったものの、
見る人の心に本当に奥深く残る、熱い感動的なドラマだったのでした。
今でもこの大河ドラマ新選組!」の熱いファンは多いですね。